【お知らせ】第15~22回の文京区の「まちづくり支援策」(その後①~⑧)は、「文京区のまちづくり支援策を考える」の新たなコーナーを設け、第第2~9回として移設しました。(2018年10月11日)
お隣り北区を見てみましょう。
同区のHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>まちづくり・住宅・環境>都市計画と、なっており、この後、「まちづくり」としてまとめたページはありません。(※このほか、景観まちづくりは「景観」の項目に、美化・緑化に関するまちづくりは「環境」の項目に入っています)
私たちが関心を持つ「まちづくり」が都市計画の中に含まれている点、また「地区計画」に関する項目が多いことを考えると、北区においては「地区計画」重視の姿勢が見て取れます。
とは言え、「地区計画」以外の区民の自発的なまちづくりの取り組みを全く支援していないわけではありません。
「まちづくり専門家派遣制度」があり、「区民の方々の自主的なまちづくり活動を推進するため、無償でまちづくり専門家を派遣しています」と書いてあります。
派遣の対象となる活動は以下のとおりですから、私たちのような活動も北区であれば含まれることでしょう。
次に掲げる活動を行う「まちづくり活動団体」の活動に対し、「まちづくり専門家」を派遣します。
(1)まちづくりを推進するために行う学習会等のまちづくりに関する活動
(2)地区計画等まちづくりのルール作成に関わる活動
(3)その他区長がまちづくりに寄与すると認めるまちづくりに関する活動
なみに、この制度は「東京都北区まちづくり専門家派遣要綱」において定められており、それぞれの概念については次にように定義しています。
○「まちづくり活動」・・・区民又は権利者が相互に協力し合い、地域特性に応じた居住環境の改善や建築物の整備等を行う活動をいいます。
○「まちづくり活動団体」・・・まちづくり活動を行うことを目的とする区民等からなる団体、グループ等をいいます。
○「まちづくり専門家」・・・まちづくりに係る各分野において、「都市計画、都市再開発及び建築計画に関する知識、資格および経験」、「法律、経営、税務及び不動産等に関する専門の資格」、「その他まちづくりに関する特に優れた知識及び経験」を有する者をいいます。
また、北区ではこのほか、「地域づくり応援団事業助成要綱」もあり、「新しい担い手の裾野を広げることを目的に、NPOやボランティア団体等が主体となって行う北区のまちづくりのための事業に対して必要な経費を助成します」と書いてあります。
北区でも、文京区同様、「協働」の理念を掲げていますが、北区の場合、単に「協働」を謳うだけであhなく、「協働地域づくり」としても打ち出しているわけです。
そこには次のように書いてあります。
「区では『区民とともに』を区政推進の基本姿勢とし、これからの区政推進に当たっても、この『協働』の精神に基づいて課題の発見から計画、執行に至るまで区民の皆さんとともに取り組んでいくこととしています」
「そのため、区民とともに一体となってまちづくりを進めること目指し、『協働』に向けた全庁的推進体制の整備を進めております」
文京区において、北区のように「区民とともに一体となってまちづくりを進めること目指し、『協働』に向けた全庁的推進体制の整備を進めて」いると胸を張って言えるでしょうか。
少なくとも、区民が文京区のHPを見る限り、そうした姿勢を見て取ることは難しいと言えます。
地元区民のまちづくりへの発意を最大限尊重し、その発意を大切に育て育む上で、お隣の北区に学ぶ点はたくさんあるような気がします。
※文京区には「不燃化特区」の支援策のひとつとして、「専門家派遣制度」(=建築物の除却や建替えを検討されている方に専門家による無料相談を行っています。専門家は建築士、弁護士、税理士、ファイナンシャル・プランナー等相談内容に適した専門家を派遣します)があります。
(2018年10月2日)
まちづくりに関して杉並区のHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>区政情報>都市整備>まちづくり・住宅
ここで杉並区の特徴のひとつとして、「くらしのガイド」から辿ると、大きな「まちづくり」の括りの中に、さらに「まちづくり」のページがあり、広義の「まちづくり」と狭義の「まちづくり」を区別している点、それとは別に区政情報>都市整備といったように辿れる点が挙げられるでしょう。
杉並区にも「まちづくり条例」があり、「まちづくりルール」のページでは「地域の住環境や景観などに関して地域住民等が自ら決めた取り決めをまちづくりルールとして区に登録できる制度を定めています」と書いてあります。
「まちづくり活動への支援」と題した独立したページもあり、そこでは支援制度について詳しく紹介しています。
◎まちづくり団体の登録制度・・・良好なまちなみの保全及び創出等のまちづくりを行うことを目的とする団体は、区に届出の上、杉並区まちづくり団体として登録することができます。
◎まちづくり助成制度・・・まちづくり助成制度は、住みよい都市環境づくりに貢献する区民活動に対して、活動の経費の一部を区が助成するもので、まちづくりの気運を醸成し、地域の活性化と住環境の向上を図ることを目的としています。助成は、(A)びぎなーコース、(B)すてっぷコースの2コースのうちから選択できます。
◎まちづくりコンサルタント派遣制度・・・区に登録されたまちづくり団体等が、まちづくりについて学習や研究をしたり、まちづくりの計画案を作成する場合に、区に登録されているコンサルタント(都市計画や建築の専門家)を派遣して、みなさんのまちづくりを支援する制度です。派遣費用は区が負担します。
しかし、文京区のHPのどこを探しても、こうした登録・助成・派遣制度はありません。
もしかすると、特定の分野や目的に絞ったまちづくりに関して、こうした支援制度があるのかもしれませんが、私たちが求めている地元区民の発意を尊重し、育て育むような一般的なまちづくりの初期段階の支援制度はありません。
一方、杉並区の場合、やや分かりにくいページ構成となっていますが、登録された「まちづくり協議会」は都市整備>まちづくり・住宅の中に入っており、それぞれの協議会が構想を策定し、その内容は区のHPを通じて公表されています。
また、商店街のまちづくりに関しては「富士見丘商店街まちづくりルール」があり、やはり区のHP上で公表されています。
もちろん、文京区の場合もいわゆる”行政主導”のまちづくりの計画は区のHP上で紹介されていますが、”行政主導”ではない、私たちのような地元区民の自発的・自主的な取り組みはどれだけ頑張って構想や計画をつくっても現状の制度や仕組みのもとでは紹介してもらうことはできません。
他の東京都特別区ではいろいろな支援制度や仕組みがあるのに、どうして文京区には地元区民の発意を尊重し、大切に育て育むようなまちづくりの支援制度や仕組みがないのか、その点を区議の方々には考えて頂きたいと思います。
(2018年9月29日)
まちづくりに関して中野区のHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>くらし・手続き> まちづくり・住まい> まちづくり
中野区には「地区まちづくり条例」があり、その目的と狙い等について次のように書いています。
「まちづくりは、区民のみなさん一人ひとりが、地区で活動することや区と協力することにより、みなさんの住み働くまちを魅力あるものにしていく取り組みです」
「そこで、区民のみなさんの『こんなまちをつくりたい』という発意(思い)によるまちづくり活動を、区が後押しするため、支援の内容と手続きについて、条例で定めました」
重要なのは、中野区が区民のまちづくりに対する「発意(思い)」を大切にしているということでしょう。
そして同区はこの条例を紹介する「区報の特集号」で、「身近な地区のまちづくりの主役はみなさんです」とはっきり打ち出しています。
しかし、文京区のHPで「まちづくり」を検索して探しても、区民のまちづくりに対する「発意(思い)」を大切にしている、あるいは区民がまちづくりの「主役」であり、それを区が「後押しするため」に支援策があるということを明確に示す文章は見つかりません。
中野区には、「地区まちづくり団体」や「地区まちづくり構想」、さらに「まちづくり専門家」の登録制度があります。
◎地区まちづくり団体(現在、2団体が登録)・・・「身近な地区でのまちづくりの関心と知識を深め、まちの課題や将来像を協議検討したうえで、地区住民等の合意を得ながら地区まちづくり構想を作成し、区と連携してまちづくりに努めます」
◎地区まちづくり構想・・・「地区まちづくり団体が、地区の将来像、まちづくりの方向性や計画などをとりまとめ、つくりあげていくものです。この構想は、まちづくりのルールづくりやさまざまなまちづくり活動を通じ、地区住民等がまちの将来像の実現を図る基となります」
◎まちづくり専門家(現在、12人が登録)・・・「地区まちづくり団体が安全で住みやすい住環境を整備するためのルールづくりなどを検討する場合に、団体からの要請に基づいて区が専門家を派遣し、そこで専門的な知識や経験に基づいたアドバイスを行います」
文京区のHPを探す限り、中野区にあるような「地区まちづくり団体」や「地区まちづくり構想」「まちづくり専門家」の登録制度はなく、仮に内部手続きとしてあったとしても、少なくとも文京区のHPで区民がその一覧を見ることはできません。
中野区では地区住民等が主体となる「まちづくりの流れ」についても、HPの中で紹介しています。
Step 1) こんなまちをつくりたい(地区住民等の発意)
▽
Step 2) みんなで話し合いながら、まちについて考えてみる
▽
Step 3) 組織を作って活動の場を広げていく(地区まちづくり団体の設立・登録)
▽
Step 4) 具体的なまちの将来像を考えていく(まち歩き、学習会の実施 など)
▽
Step 5) まちづくりのルールを検討していく(専門家の派遣など)
▽
Step 6) 地区まちづくり構想を登録する
▽ (都市計画提案)
▽ (地区計画等の住民原案の申出)
安全で住みやすい、まちづくりを進めていく
ところが、文京区ではいわゆる”行政主導”の都市計画についてはHPで説明してあっても、区民の発意に基づく”区民主導”のまちづくりについては、中野区のような親切な説明はありません。
私たちは、区民の発意に基づくまちづくりの初期段階の支援策として、中野区にあるような登録制度やHP上での親切丁寧な説明が欠かせないと思いますし、敢えてこうした登録制度や説明を設けない理由はないような気がします。
(2018年9月27日)
まちづくりに関して大田区のHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>住まい・まちなみ・環境>まちづくり
この中で、文京区としても積極的に学びたいのが「地域力を生かした大田区まちづくり条例」と、「みんなでつくろう!まちのルール」の部分でしょう。
「地域力を生かした大田区まちづくり条例」について言えば、その章立てを見ただけで、「まちづくり」に関係する部分を広義かつ広範囲に取り込んでいることが分かります。
第1章 総則
第2章 地域力を生かしたまちづくり
第3章 建築物等に係る開発調整
第4章 葬祭場等の設置に係る調整
第5章 墓地に係る開発調整
第6章 自然環境に対する配慮
第7章 雑則
第8章 罰則(※「罰則」規定を盛り込んでいるのも大田区の特徴のひとつです)
制定の背景として同区は、「地域の特色を踏まえ、区民、事業者、区がお互いに協力し、一人一人の力を源とする地域力を生かして、未来にわたって誰もが安心して快適に暮らせるまちづくりを目指し、この条例は制定されました」と説明しています。
文京区の場合、「協働・協治」を理念としていますから、「区民、事業者、区がお互いに協力」する点は同じだとは思いますが、「一人一人の力を源とする地域力」という着想は見習いたいところです。
大田区は、「未来にわたって誰もが安心して快適に暮らせるまちづくりを目指し、この条例は制定されました」としているわけですが、文京区の場合、こうした条例を制定せずとも「未来にわたって誰もが安心して快適に暮らせるまちづくり」がどのようにして可能になるのか示す必要があるように思います。
大田区では、まちづくり支援に関して「地区まちづくり協議会を設立しようとする団体の設立準備や区から認定を受けた地区まちづくり協議会の活動に対する支援、地区計画素案を策定しようとする団体に対する支援を行います」となっています。
どんな支援があるかというと、①地区まちづくり協議会設立支援事業②地区まちづくり協議会支援事業③地区計画素案策定支援事業--であり、特に私たちが重要視しているのは①に関してです。
詳しくは同区の「地域力を生かした大田区まちづくり条例パンフレット」の3~8ページに出ていますが、文京区にはこうした制度。仕組みがないため、私たちは一切の支援を文京区から受けていません。
私たちが進めている「建築協定」についても、大田区の場合、区長の認可を得た「建築協定」の仕組みもあります。
「みんなでつくろう!まちのルール」のページに行けば、「地区計画」「建築協定」「地区まちづくりルール」を活用したまちづくりを検討するときの参考にできる手引きが見られるようになっています。
また、「地区まちづくりルール」の規定もあり、その特徴を大田区は次のように説明しています。
「都市計画で定める地区計画は、素案の作成や法的な手続きなどを行わなければなりませんが、協議会や自治会・町会、商店会等で検討した地域の自主的な取り決め(地区まちづくりルール)について、区に登録することができます」
「地区計画のように法的な拘束力はありませんが、区と地域が連携しながら普及に努め、地域が目指すまちづくりへの理解を図ります」--。
文京区の場合、「協議会や自治会・町会、商店会等で検討した地域の自主的な取り決め(地区まちづくりルール)について、区に登録する」制度はありませんから、私たちがどんなに頑張って自主的な取り決めをしても、地元区民が勝手に作っただけということになってしまいます。
大田区では、「地区まちづくりルール」は現在、「大森銀座商店街まちづくりガイドライン」「蒲田駅東口商店街エリアまちづくりガイドライン」「山王まちづくりルール」の3つあります。
大田区のケースはまちづくりを広範囲にとらえた総合的な条例になっている点や罰則規定を設けている点で大いに参考になりますし、その他の支援制度についても充実していると言えるかと思います。
この大田区のケースと比べれば、文京区の「まちづくりに関する条例、要綱は個別の目的ごとに制定してあり、非常に分かりやすい」(2018年6月19日の建設委員会における区の担当課長の答弁)とは決して言えないことが分かるはずです。
(2018年9月25日)
区長選挙が23日、告示された品川区を取り上げます。(※30日投開票。自民党と公明党の推薦を受け4期目を目指す現職区長、立憲民主党、共産党、自由党、都民ファーストの会が推薦する元東京都議会議員(新人)、元品川区議会議員(新人)の3人が立候補を届け出=順不同)
品川区も基本的には「地区計画」に重点を置いてまちづくりを進めていますが、区民の自主的なまちづくり支援にも目配せをしています。
ホーム>環境・まちづくり>都市整備、と進んでいきますが、ここで一挙に項目が増えます。
その最上段に出てくるのが「まちづくり支援」。
その中に「まちづくり専門家派遣事業・補助金交付事業」があり、そこの「みなさんの自主的なまちづくりを応援します」というページには次のように書いていあります。
「品川区は、住み良いまちづくりをするためには、地域の事情にくわしいみなさんの、提案から取り組むことが、大切であると考えています」--。
文京区のHPを探しても、「地域の事情にくわしいみなさんの、提案から取り組むことが、大切である」との区の考えは示されていません。
さらに品川区のHPの記載は続きます。
「みなさんのまちづくりを応援するために、まちづくり専門家派遣事業があります」
「まちの悩みとしてあげられる数々の声」
「たとえば、『道路が狭い』『緑や広場が少ない』『古い住宅が密集している』『地震や火事などの災害が不安だ』『良好な環境をまもっていきたい』などを解決し、住みよいまち品川区を、みなさんの手でつくってゆきましょう」--
文京区のまちづくりの中にも、「助成制度」や「支援制度」はありますが、それは「不燃化特区」に関してです。(※所管:地域整備課耐震・不燃化担当)
文京区の「まちの悩みとしてあげられる数々の声」に応え、地域の社会的課題を「解決し」、住みよいまちを、区民の手でつくっていくための網羅的・全体的・全域的なまちづくりの応援制度や仕組みはありません。
品川区では、「品川区まちづくり推進要綱」も制定してあり、その目的として「この要綱は、区民の自主的なまちづくり活動を援助することにより、地域の特性に応じた生活環境の改善および都市機能の更新を促進し、もって活力ある緑豊かな住みよいまちづくりの実現に寄与することを目的とする」と定めてあります。
しかし、文京区においては、「区民の自主的なまちづくり活動を援助する」ことに重点を置いた制度や仕組みはなく(”行政主導”のまちづくりの中における区民に対する活動支援はあるかもしれませんが…)、事実、私たちは区から何の支援も受けずに活動しています。
文京区が、どうしても「条例」をつくりたくないということであれば、品川区のように「要綱」で対応することも可能ではないのでしょうか。
いずれにしても、文京区には地元区民の自主的なまちづくりの提案を尊重し、それを大切に育て育む姿勢が薄いように見受けられます。
(2018年9月24日)
まちづくりに関して足立区のHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>まちづくり・住宅>まちづくり・区画整理
「まちづくり」のところが、「まちづくり・区画整理」という括りになっているのは足立区らしいと言えそうですが、文京区として学びたいのは次の3点でしょう。
①「まちづくり推進委員会」があるということ
「区民との協働によるまちづくりの推進のため、『足立区ユニバーサルデザインのまちづくり条例』(平成24年12月1日施行)に基づき、地域住民と行政とのパイプ役を担うと共に、区民の立場から、まちづくりに対する意見、提言を行い、区のまちづくりに資する目的で設置した組織である」と書いてあります。
活動内容は次のようになっています。
・会議等(調整委員会、推進委員会、地区部会他)
•あだちまちづくりフォーラム年1回
•先進事例視察会年1回
•自主的な地域活動(年間を通じ、随時実施)
•まちづくり団体等への派遣
②まちづくり活動支援事業(公益信託あだちまちづくりトラスト)があるということ
「公益信託あだちまちづくりトラストは、創意工夫による自主的なまちづくり活動を行う個人又は団体に対して助成支援を行うことにより、足立区の快適で文化的な、ふれあいのあるまちの創造に寄与することを目的としています。三菱UFJ信託銀行(株)が代表受託者となり、信託された財産の運用や助成支援等を行っています」
助成支援対象は次のようになっています。
1.まちづくりの調査・研究等を行う個人又は団体への助成
2.公園・道路等公共施設内において、ふれあいのある快適な都市景観の整備等の活動を行う団体への助成
3.公開性の高い民地において、ふれあいのある快適な都市景観の整備等の活動を行う個人又は団体への助成
4.その他目的を達成するために必要な事業
③まちづくり小冊子“まちづくりの「いっ歩!」”の作成
「足立区では、住民主体の協働のまちづくりへの取り組みを進めています。協働のまちづくりを実践するには、身の周りの生活環境について、自ら考えられるまちづくり意識を持った人材が求められており、そのためには子供の頃からの動機付けが重要であると考えています」
「そこで区では、まちづくりについてわかりやすく解説した、小中学生向けまちづくり小冊子”まちづくりの「いっ歩!」”を作成しました。この冊子との出会いをきっかけとして、少しでも早い時期にまちづくりや住んでいるまちへの興味が喚起されればと考えています」--
足立区の場合、まちづくりの意識付けを明確にし、目指すまちづくりを実現するための制度や仕組みをしっかり整えていることが分かります。
文京区も、文京区に相応しい形でこうした仕組みを取り入れるとともに、子育て世代向けにはこうした冊子をつくり、親子で文京区のまちづくりを考えるようにしていってもいいのではないでしょうか。
(2018年9月21日)
まちづくりに関して葛飾区のHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>くらしのガイド> まちづくり
同区には「葛飾区街づくり推進条例」があり、「参加による街づくり推進条例についてご説明します」というタイトルを付けたページも用意しています。
区民の立場に立ち、区民目線でHPをつくり、情報発信する姿勢がうかがえます。
「参加による街づくり推進条例についてご説明します」というタイトルを付けたページを辿ると、以下のような説明が綴られています。
「地域の皆さんが思い描く街の将来像の実現をお手伝いする制度です」
「葛飾区区民参加による街づくり推進条例では、地域の皆さんが思い描く街の将来像の実現をお手伝いするため、主に次の2つのことが定められています」
①街づくりについて区に提案するための手続き・・・街づくり推進条例には、地域の皆さんが目指す街の将来像を区に提案するための手続きが定められています。
この条例に基づく街づくりは次のように進められます。
1.街づくりについて話し合うメンバーを探し、区へ登録します。(街づくり活動団体)
2.話し合いの対象となっている区域の街づくりについて、メンバーで話し合い、方針などを決めます。(素案の作成)
3.素案について、対象区域にお住まいの方々を対象に説明会を実施してください。
4.素案について賛同する方々と一緒に協議会を作り(街づくり協議会)、方針を実現する方法について話し合います。(街づくり計画の作成)
5.方針を実現する方法等が決まったら、区へ提案してください。(街づくり計画の提案)
6.区は、提案された内容が区の施策に反映されるように努めます。
上記のような、街づくり推進条例に基づく自主的な街づくりの検討活動を行う際には、区より街づくりの検討活動に有益な情報提供や検討会場の貸与等の支援を受けることができます。 (支援を受けるためには、一定の要件を満たし、区に登録をする必要があります)
②開発事業者等と連携した街づくり・・・街づくり推進条例では、事業者の皆様の行う建築行為や開発行為と区民の検討する街づくりとの間で、齟齬を生じることの無いように、一定規模以上の開発行為や建築行為を行う事業者の皆様に対し、地域住民あての早期情報提供をお願いしています。
特に①に関しては、文京区にこうした制度・仕組みはなく、簡易宿所建設計画地周辺に住む私たち千石4丁目の区民は、文京区においてもこうした仕組みが欠かせないと考えています。
各区のHPのまちづくりに関連した制度や仕組みの説明や表現を比べていくと、区の区民に対する姿勢が行間から見て取れるかと思います。
冒頭に紹介した、「地域の皆さんが思い描く街の将来像の実現をお手伝いする制度です」というフレーズは、区民に寄り添う気持ちがよく表れた表現ではないでしょうか。
(2018年9月20日)
まちづくりに関して台東区のHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>暮らしのガイド>建築・まちづくり>地区まちづくりの推進
トップページに「まちづくり」という項目や言葉は出て来ませんが、辿っていくとかなり重点を置いていることが見て取れます。
では、「地区まちづくりの推進」はどうなっているでしょうか。
「はじめに」として、次のように書いてあります。
「住みよいまちをつくるためには、区民のみなさん一人ひとりが、どのようなまちに住みたいかを考え、意見を出し合うことが大切です」
「台東区では、まちづくり活動を支援することによって、区民主体のまちづくり、地区の個性を活かしたまちづくり、安全で住みよいまちづくりを進め、良好な市街地の形成や住環境の向上の実現を目指しています」--。
この部分はまちづくりのとって非常に重要だと思いますし、私たちの要望ともぴったり重なります。
これをそのまま文京区の「まちづくり」のあり方として当てはめても、十分に通用するのではないでしょうか。
台東区では区のHP上で、まちづくりをすすめる団体への支援(「まちづくり相談員派遣制度」や「まちづくり活動推進団体補助金交付制度」)、まちづくり活動の紹介をしています。
また、「地区まちづくりの進め方」という小冊子もつくり、区のHP上で公表しています。
文京区においても、こうした地元区民主体のまちづくりを後押しする初期段階での支援の仕組みがあってもいいのではないでしょうか。
一方、「地区計画」は、「地区まちづくりの推進」とは別の項目建てで掲載しています。
ホーム>暮らしのガイド>建築・まちづくり>各種計画など>地区計画、と進みます。
前回の江東区でも指摘しましたが、やはり文京区と比べた場合に気になるのは「地区計画」の説明の仕方です。
台東区では、「計画策定に際しては、住民が中心となり、区がサポートしながらその地区のルールを決め、これを都市計画として決定します」と書いてあり、江東区と同じように「住民」が中心であることが明確になっています。
文京区は「住民の皆さんと区が話し合ってまちづくりのルールをつくり、地区の特性を活かしたきめ細かいまちづくりを進めていく制度です」としており、誰のために誰が中心となって進めていくのか分かりづらくなっているだけに、文京区としても大いに学びたいところです。
(2018年9月19日)
9月1日、江東区のHPの「区政最前線~区長室から~」に、「まちづくりの主役は区民一人ひとり」というタイトルのメッセージが掲載されました。
次期江東区長期計画(平成32年度から10年間)の策定に向け、区民の意見やアイデアを募ろうと「区民会議」を開催するというもので、その参加を呼びかけたものです。
そこにはこう書いてあります。
「まちづくりの主役は区民一人ひとりです。区民会議に参加していただくことは、計画に区民ニーズやご意見を反映するために有効であるばかりでなく、自分の暮らす地域に関心を持っていただき、住民と行政の協働によるまちづくりにも有意義と考えています」--。
まちづくりに対する区の姿勢、区民との協働に対する考え方が明確に出ているかと思います。
その江東区ですが、まちづくりに関してHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>環境・まちづくり>都市整備>地区のまちづくり
ただ、これまで紹介してきた区とは異なり、江東区の場合は「地区計画」に重点を置いています。
「地区レベルでのルールづくり」は「地区計画」を指し、「地区レベルでのまちづくり方針」も「地区計画」を前提とした「方針」を言っています。
そのことは、「まちづくりルール(地区計画)の導入に当たっては、地区にお住まいの方や土地・建物をお持ちの方のご意見を伺いながら、地域の現状に合ったルールの検討を行い、地域に関係する皆様と区が一緒になってルールを決めていきます」との記載があることからも分かります。
では、ここで文京区のHP上での「地区計画」の位置づけや説明を、江東区と比べてみましょう。
文京区の場合、地区計画に辿り着くまでには以下のように辿るこ とになります。(※もちろん、検索機能を使うことは可能です)
ホーム>防災・まちづくり・環境>まちづくり・都市計画>都市計画などに関すること>個別の都市計画>計画・事業別の都市計画>地区計画
ここで重要なのは、文京区の場合、「地区計画」はいわゆる「まちづくり」に分類されているのではなく、「都市計画などに関すること」に入っている点です。
では、文京区の「地区計画」の説明はどのようになっているでしょうか。
「地区計画とは、町丁単位や街区単位などの身近な地区を単位として、住民の皆さんと区が話し合 ってまちづくりのルールをつくり、地区の特性を活かしたきめ細かいまちづくりを進めていく制度です」
「地区計画では、その地区に適したふさわしいまちの姿を定めるとともに、その実現のために、建築物の用途・形態などの制限や、道路・公園など公共施設の配置・規模について総合的一体的なルールを都市計画として定めます」--
江東区の説明(=まちづくりルール(地区計画)の導入に当たっては、地区にお住まいの方や土地・建物をお持ちの方のご意見を伺いながら、地域の現状に合ったルールの検討を行い、地域に関係する皆様と区が一緒になってルールを決めていきます)と比べ、文京区の場合は都市計画の面が強調され、その分、固い表現になっていることが見て取れます。
文京区の説明では、「住民の皆さんと区が話し合ってまちづくりのルールをつくり…」となっているものの、区民と区とどちらが”主役”なのかが分かりません。 (※「協働・協治」の理念上、対等であることは理解していますが…)
江東区の説明の方が、区民にとって親しみやすい表現になっていますし、「地区にお住まいの方や土地・建物をお持ちの方のご意見を伺いながら…」という書き方で、区民が”主役”のニュアンスがよく出ています。
「地域に関係する皆様と区が一緒になってルールを決めていきます」という表現も、「一緒になって…」というフレーズが区民の心に響くのではないでしょうか。
文京区における「地区計画」の位置づけや説明が、区民に寄り添う表現になっているかどうか再考してもいいのではないでしょうか。
(2018年9月18日)
墨田区では、ホーム>産業・まちづくり>まちづくり>まちづくりの推進>協働のまちづくり、と進んでいくと、「まちづくりの支援」のページに辿り着きます。
同区には「まちづくり条例」があり、第7条として「区民等、事業者及び区の協働によるまちづくりを推進するため、区長の附属機関として、墨田区まちづくり検討委員会(以下「まちづくり検討委員会」という。)を設置する」と規定しています。
主な役割は第8条で定めてあり、「地区まちづくり団体の認定」「地区まちづくり協定の認定」「地区計画等推進地区の指定」などの役割を担います。
第11~12条では、「地区まちづくり団体の育成」の規定があり、以下を定めています。
第11条 区民等は、自主的に地域のまちづくりを行うため、地区まちづくり団体を結成することができる。この場合において、地区まちづくり団体は、当該団体の結成を、区長に対して通知することができる。
2 区長は、地区まちづくり団体に対して、必要な情報提供等の支援を行い、育成に努めなければならない。
3 区長は、第1項の規定により通知を受けた地区まちづくり団体を公表することができる。
4 区長は、区民等、地区まちづくり団体等の間で情報交換、連携等が図られるよう努めるものとする。
第12条 地区まちづくり団体は、その活動に対する支援等を受けようとするときは、区長に対して、墨田区規則(以下「規則」という。)の定めるところにより、地区まちづくり団体の認定を申請することができる。
2 区長は、前項の申請があった場合は、規則の定めるところにより、まちづくり検討委員会の意見を聴き、当該地区まちづくり団体を認定することができる。
3 区長は、認定した地区まちづくり団体(以下「地区まちづくり認定団体」という。)を公表するものとする。
4 区長は、区民等、地区まちづくり認定団体等の間で情報交換、連携等が図られるよう努めるものとする。
現在、「地区まちづくり団体の結成状況」として墨田区のHP上で掲載されています。
・小梅牛島通りまちづくり協議会
・東墨田防災まちづくり協議会
・東向二四地区まちづくりを考える会
・立川菊川まちづくり研究会
・両国連合まちづくり推進協議会
・押上駅周辺まちづくり研究会「通称634押上」
・向島町おこしの会(※)
・ちぎり会
・北斎通りまちづくりの会(※)
・一寺言問を防災のまちにする会(※)
様々な名称の団体があることが分かります。上記のうち、※印を付けた3団体は「地区まちづくり認定団体」に認定されています。
では、墨田区における「地区まちづくり計画」の認定要件はどのようになっているでしょうか。
「一定の区域内のまちづくりの方針や目標を定めたもので、まちづくりのビジョン、町並みづくりの提案、まちのオープンスペース提案など、まちづくりに関する計画です。地区まちづくり計画は、地区住民のおおむね5割の賛同があれば、認定し、公表等の支援をします。認定は、中立性を担保するため墨田区まちづくり検討委員会の意見を聴いて、区長が認定します。認定要件および申請方法等は墨田区まちづくり条例施行規則に規定しています」--
また、「地区まちづくり協定」は次のようになっています。
「地区まちづくり計画を実現するための具体的な取り決めのことです。地区まちづくり協定は、区域面積が1,000平方メートル以上で地区住民のおおむね8割の賛同があれば、認定し、公表等の支援をします。認定は、中立性を担保するためまちづくり検討委員会の意見を聴くこととします。認定要件および申請方法等は墨田区まちづくり条例施行規則に規定しています」--
ポイントは、「地区まちづくり計画」が「地区住民のおおむね5割の賛同があれば、認定し、公表等の支援をします」という点、「地区まちづくり協定」が「区域面積が1,000平方メートル以上で地区住民のおおむね8割の賛同があれば、認定し、公表等の支援をします」という点でしょう。
しかし、文京区には「まちづくり条例」がないこともあり、区長が「地区まちづくり団体に対して、必要な情報提供等の支援を行い、育成に努めなければならない」といった規定はありません。
文京区には「地区まちづくり協定の認定」の認定制度もなく、区のHPを通じて公表する仕組みもありません。
それにもかかわらず、どうして「本区のまちづくりに関する条例、要綱は個別の目的ごとに制定してあり、非常に分かりやすいというふうに認識している」「新たにまちづくり条例を制定する考えはない」(いずれも2018年6月19日の建設委員会における区の担当課長の答弁)と言い切ってしまうのでしょうか。(※区議の方々へ「請願書」作成プロセス:第1部「検証・建設委員会」を参照)
文京区においても、認定基準を定めた上で、「地区まちづくり計画」や「地区まちづくり協定」を認定し、それを公表していく支援の仕組みをつくることは可能でしょうし、そうすることが区民の「協働・協治」の意識を高め、それは区全体のまちづくりの活性化にもつながっていくはずです。
(2018年9月17日)
まちづくりに関し て港区のHPを辿ると、次のようになります。
ホーム>環境・まちづくり>都市計画・まちづくり
文京区と比べた場合の港区の最大の特徴は以下の点にあるしょう。
それは 「地域主体のまちづくり」という項目があり、「『区民発意のまちづくり』について」というページがしっかりあることです。
まさに私たちが求めているまちづくりに関する制度や仕組みが明確に定めてあるのです。
そこには冒頭、こう書いてあります。
「区は、地域の課題は地域で解決し、地域の発意と合意に基づくまちづくりを推進するため、平成19年に『港区まちづくり条例』を制定し、地域主体のまちづくり活動を支援しています」
「地域のみなさんが抱いている『まちへの想い』を形にし、いつまでも快適に暮らせるまちとなるように地域のみなさんでまちづくりに取り組んでみませんか? 区は、地域で進めるまちづくりを応援します!」
今から10年以上前に「港区まちづくり条例」が制定され、「地域の発意と合意に基づくまちづくりの推進」、行政主体ではなく「地域主体のまちづくり活動の支援」、「地域住民が抱く『まちへの思い』を形にする」、「いつまでも快適に暮らせるまちにする」、「地域住民でまちづくりに取り組む」など、私たちの全ての思いと願いが入っています。
それでは具体的に見ていきましょう。
まず、条例に基づく「まちづくり組織」が区に登録され、公表 されます。(現在、9団体が登録済み)
さらに、それぞれの組織がつくった「まちづくりビジョン」も登録、公表される仕組みになっており、平成30年3月末現在、4つの「まちづくりビジョン」が登録済み、2つの「地区まちづくりルール」が認定されています。
各段階での区の支援も充実しており、「区の職員による出前講座」「専門家(まちづくりコンサルタント)の派遣」「専門家(まちづくりコンサルタント)の登録情報」「まちづくり活動への助成」があります。(※港区におけるそれぞれの担当は「各地区総合支所まちづくり課まちづくり係」となっています)
文京区にも「区民発意」のまちづくりに対して、初期段階から支えるとともに、各ステージに応じたきめ細かい支援策があってもいいのではないでしょうか。
(2018年9月16日)
目黒区では「街づくり」という表現を使っています。
まちづくりに関して目黒区のHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>くらし・手続き>住まい・まちなみ>街づくり、と進みます。
目黒区では「地区計画」と並び、「建築協定」を区のHPで公表しています。
このほか、「地区計画」等の法定の制度とは別に、地区住民による任意の街づくりのルールとなる「街づくりガイドライン」を定めています 。
現在、2地区=「目黒区八雲四丁目地区(目黒区八雲四丁目全域)」と「目黒区青葉台一丁目地区(目黒区青葉台一丁目5番・6番)」 で定めており、具体的なガイドラインの内容も区のHPで公表しています。
「目黒区地域街づくり条例」のページを開くと、冒頭、次のような説明が出てきます。(※「目黒区地域街づくり条例」のパンフレットもあります)
「区民のみなさんの、自主的な街づくりを応援します」「地域の街づくりは、区民のみなさんの、地域に根ざしたきめ細やかな視点から進めていくことが大切であると考えています」「平成19年に制定した『目黒区地域街づくり条例』は、区民のみなさんが日ごろ感じている身近な問題への関心を、具体的な街づくりの取り組みにつなげる仕組みを定めたものです」「身近な生活環境のことなどで気になって いることを、地域のみなさんで話し合ってみませんか? 随時受付していますので、お気軽にご相談ください」--
目黒区の場合、区民の願いを汲み取り、区民の発意を大切にし、区民に寄り添いながらまちづくりを進めるという区の姿勢がはっきりと読み取れます。
現在、4団体(自由が丘の住環境を考える会/下目黒街づくりの会/祐天寺ロータリーを考える会/洗足街づくり研究会) が条例に基づく「地域街づくり研究会」として登録され、活動しています。(平成29年7月時点)
「街づくり団体への支援」は、条例に基づいて「地域街づくり研究会」として登録、または「地域街づくり団体」として認定を受けると、区が情報提供を行ったり、専門家を派遣したり活動を支援します。
対象団体は「地域街づくり研究会」が「概ね5人以上で構成する街づくりに関する自主的な研究・活動を行う団体」、「地域街づくり団体」が「概ね10人以上で構成す る『地域街づくり計画』『地域街づくりルール』の策定を含む街づくり活動を行う団体」となっています。
同一の年度において、1団体あたり5回を限度とした「専門家の派遣」のほか、「活動経費の助成」を受けられます。
簡易宿所建設計画地周辺に住む私たち千石4丁目の区民としては、文京区にもこうした制度や仕組みがあれば、私たちのような地元区民の発意に基づくまちづくりが、区のいろいろなところで活発に行われるようになると考えています。
(2018年9月15日)
今日から東京23区の「まちづくり支援策」を見ていきたいと思います。(※正確には文京区を除く22区を対象に連載していく予定です)
第1弾は渋谷区を取り上げ、文京区の「まちづくり支援策」と比べてみましょう。
まちづくりに関して渋谷区のHPを辿ると、以下のようになります。
ホーム>環境・まちづくり・土木・建築>地域のまちづくり
この「地域まちづくり」の中には、いわゆる”行政主導”による「まちづくり指針」も含まれていますが、これとは別に「認定まちづくり協議会」や「わがまちルール」という渋谷区独自の支援策も入っています。
「認定まちづくり協議会」は、「地域においてまちづくりに取り組む団体(当該地域の住民などで構成され、町会・商店会および各種地域団体が参加しており、当該地域を代表しているというコンセンサスを得られている団体)を、『まちづくり協議会』として区が認定」しているものです。(現在、5つの団体が認定されています)
文京区にはこうした認定制度はありません。
もしあれば、私たち千石4丁目南地区は手を挙げますが、どうして文京区にはないのでしょうか。あると何か不都合があるのでしょうか。
もちろん、渋谷区のようなこうした認定制度など「必要ない」という意見もあるかもしれませんが、そうであるならその理由と根拠を明らかにすべきでしょう。
こうした認定制度が「必要である」という意見と、「必要ない」という意見の双方の理由と根拠をしっかり比較し、その是非を検討することが大切ではないでしょうか。
次に、渋谷区には「わがまちルール」というものがあります。
これは、「地域住民や認定まちづくり協議会などが地区内における地域特性に応じたまちづくりに関する自主的なルールを『わがまちルール』として区に登録し、運用会議を設置し、自主的に運用」するものです。
もし、文京区に同様の制度があれば、私たちは手を挙げていたことでしょう。しかし、残念ながら文京区にはありません。
もうひとつ、渋谷区の目新しい取り組みとして「ササハタハツまちづくりフューチャーセッション」があります。
2017年度の開催報告にはその目的について以下のように書いてあります。
「笹塚・幡ヶ谷・初台エリア(ササハタハツ)のまちづくりに関して、3つのエリアの方々がつながり合い、未来を創造していくフューチャーセッションがスタートしました」
「フューチャーセッションとは、未来に向けて主体的にアイデアを生み出し、地域の多様な関係者が協力して実行に導くための場のことです。2017年度は4回にわたりセッションを行い、このまちに住んでいる人、働いている人、学んでいる人、興味がある人の誰もが主体的にまちづくりに参加していけるまちを目指していくという関係性が生まれました」
「2018年度は、緑道ブロック、水道道路・広域ブロックの二つの分科会を立ち上げ、さらなるまちづくりアイデアの創出を行うとともに、昨年度結成したプロジェクトチームの活動を引き続き支援します」--。
文京区内でも、複数の「まちづくり」エリアがつながり合い、未来を創造していくプロジェクトが立ち上がってもいいでしょう。
私たちは「請願書」の中で渋谷区の支援策について言及しませんでしたが、渋谷区のケースに学びながら、区民の自発的な意思に基づいたまちづくりを区が応援する仕組みが文京区においても必要だと考えています。
(2018年9月14日)
まずは文京区の「まちづくり支援策」がどうなっているのか、HPで見ていきましょう。
まちづくりに関して文京区のHPを辿ると、次のようになります。
ホーム>防災・まちづくり・環境>まちづくり・都市計画>まちづくり
「まちづくり」のページには、「まちづくりの計画等」と「不燃化特区」が並び、前者には「まちづくり基本計画」「都市再生整備計画」「後楽緑道」の3項目が含まれます。
一番大きなスペースを割き、詳しく掲載しているのは「まちづくり基本計画」です。
そこでは、「まちづくり基本計画とは」として、次のように説明しています。
「文京区では総合的なまちづくりのガイドラインである『文京区都市マスタープラン』の実現性を高め、文京区のシンボルゾーンの早期形成を図るため、拠点地区に位置づけられた地区について、まちづくり基本計画を策定しています」
まちづくり基本計画を策定した地区(4地区)
(1) 茗荷谷駅周辺まちづくり基本計画(平成10年3月策定)
・計画策定区域(大塚一丁目1~9番/大塚二丁目1番/大塚三丁目1~6番、29番、30番/小日向一丁目5番、8~27番/小日向二丁目1~15番、23~31番 /小日向三丁目全域/小日向四丁目全域/小石川五丁目1~19番/音羽一丁目5~7番
・まちづくり基本計画概要版:茗荷谷駅周辺まちづくり基本計画
(2) 文京シビックセンター周辺地区まちづくり基本計画(平成13年3月策定)
・計画策定区域(春日一丁目15~16番/小石川一丁目1~23番/小石川二丁目1~3番、18~25番/小石川三丁目26~28番/本郷四丁目15番~27番/西片一丁目2番,15番)
・まちづくり基本計画概要版:文京シビックセンター周辺地区まちづくり基本計画
(3) 根津駅周辺地区まちづくり基本計画(平成20年3月策定)
・計画策定区域(根津一丁目及び根津二丁目の全域)
・まちづくり基本計画概要版 :根津駅周辺地区まちづくり基本計画
(4) 千駄木駅周辺地区まちづくり基本計画(平成23年3月策定)
・計画策定区域(千駄木二丁目全域及び千駄木三丁目23番~52番の区域)
・まちづくり基本計画概要版:千駄木駅周辺地区まちづくり基本計画
「まちづくり基本計画」のページを読む限り、「文京区都市マスタープラン」の実現を目指した”行政主導”のまちづくりであることが見て取れそうです。
もちろん、簡易宿所建設計画地周辺に住む私たち区民は、必ずしも”行政主導”のまちづくりを否定しているわけではありません。
大所高所に立って区全体の発展を考えた上で、様々な観点からの都市計画上の必要性も当然あるからです。
それに、もしかするとHPでは紹介されていないだけで、上記の地域に 関してはいろいろな支援策があるかもしれません。
しかし、上記の「計画策定区域」に、私たちの住む「千石4丁目」は含まれていません。
私たちのように、「計画策定区域」に定められていない地域の区民が自主的にまちづくりに取り組もうとした時、今の文京区には地区計画以外に、制度や仕組みの面で何の支援策もないのです。(※区の担当者が親身に相談に乗ってくれるかもしれませんが…)
私たちとしては、いわゆる”行政主導”の「まちづくり」に加えて、地元区民の自発的な申し出に基づく「まちづくり支援策」も必要であり、それを求めているというわけです。
私たちは、他の自治体で導入していないような全く新しい 制度や仕組みを求めているわけではありません。
次回以降、他の自治体でどのような「まちづくり支援策」があるのか、細かく見ていきたいと思います。
(2018年9月13日)
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