【お知らせ】このコーナーは一旦休載し、「文京区における『あらゆる差別なきまちづくり』を考える」の連載に移行します。
◆小日向2丁目で起きている「巨大ワンルームマンション」の建設計画問題は、まさに昨日指摘した視点において重要な意味を持ちます。
この「巨大ワンルームマンション」の計画地は、第1種低層住居専用地域であり、小日向2丁目が有する「都心に近接しながらも閑静で比較的良好な住宅地を形成」するという「魅力」を継承する上で、大きな問題があると言わざるを得ません。
仮にこの地に、計画通りの「巨大ワンルームマンション」が建ったとして、それでも「だれもが住み続けたい、住みたいと思える快適な環境が整った、潤いと魅力にあふれたまち」と言い切れるのかどうかを文京区長をはじめとする区の全職員は自問自答しなければならないでしょう。
もちろん区議においても同じだと思います。
新渡戸稲造旧居跡という歴史にも鑑みて、果たして相応しいと言えるのかどうか--。
そして、この地に「巨大ワンルームマンション」ができてなお、「だれもが住み続けたい、住みたいと思える快適な環境が整った、潤いと魅力にあふれたまち」づくりに貢献・寄与するものであると胸を張れるのかどうか--。
そうでないのでないのであれば、区・区議・区民が手を携えて、小日向2丁目に相応しい土地利用の仕方へと事業者を導いていかなければならないでしょう。
そのためにも、「まちづくり推進要綱」を全面的に見直し、同時に「文の京」まちづくり基本条例といった条例も作っていかねばならないというわけです。(続く)
(2019年6月7日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」の「改定にあたっての新たな視点」における「(文京区の)魅力の継承」とは何か--。
実は、この「都市マス2011」の中の別のところで、こんな記載があります。
「区内全域では住居系の用途地域※は約6割を占め(※1)、都心に近接しながらも閑静で比較的良好な住宅地を形成しています」--。
※1:区内の住居系の用途地域は、第1種低層住居専用地域が121.8ha、第1種中高層住居専用地域が334.8ha、第2種中高層住居専用地域が7.8ha、第1 種住居地域が180.2ha、第2種住居地域が48.8haあり、合計すると693.4haとなり、区全体面積1,131.0haの61%を占めます。
わたしは、「都心に近接しながらも閑静で比較的良好な住宅地を形成」しているというところは極めて重要であり、この「魅力」を「継承」していくことが、「都市マス2011」の重要な使命であり、「まちづくり推進要綱」においてもこの点を強く意識していかなければならないと思っています。
特に、区全体の1割(正確には10.77%)を占める第1種低層住居専用地域は是が非でも守っていくことが求められているのではないでしょうか。
そして、ここを“死守”していくことが、「だれもが住み続けたい、住みたいと思える快適な環境が整った、潤いと魅力にあふれたまち」(文京区基本構想)の中核を担うのであって、これが”破壊”され、マンション群に”侵食”されるようでは、「だれもが住み続けたい、住みたいと思える快適な環境が整った、潤いと魅力にあふれたまち」の実現は遠のくでしょう。
「まちづくり推進要綱」を全面的に見直し、新たに「文の京」まちづくり基本条例といった条例を制定する必要性もそこにあります。(続く)
(2019年6月6日)
◆きょうから「文京区都市マスタープラン2011」の「改定にあたっての新たな視点」を見ていきたいと思います。
「改定にあたっての新たな視点」のところには、次のような補足説明が書いてあります。
「まちづくりの主な課題を解決するにあたり、次のような新たな視点をもって取り組みます」--。
新たな「視点」は次の4点です。
①魅力の継承
②地域社会の変化への対応
③地球温暖化※等への対応
④効率的かつ効果的な施策の推進
①の「魅力の継承」については、以下のように記載していますが、果たして十分でしょうか。
「文京区固有のまちの魅力を生かしていくことが、これまで区内において培われてきたまちの歴史や文化などを伝えていくことになります。そしてこのことによって、区民が文京区に誇りを感じ、他の都市にはない住みやすさや親しみを一層感じることにつながると考えます。このため、区固有のまちの魅力を、まちづくり全般にわたって生かすとともに、さらに新しい魅力の創出を合わせて行い、これらをまちの魅力として継承していくことが必要です。そして、区の魅力を区内外に広く発信することによって、交流の機会を広げ、地域を活性化していくことが望まれます」--。
2011年当時と現在と、状況が大きく異なるかもしれませんが、私は異論があります。
私が考える「(文京区の)魅力の継承」とは何かについては明日、論じたいと思います。(続く)
(2019年6月5日)
◆先週のこのコーナーで、「多様な『紛争』が区民を苦しめ、負担を強いている」と書きましたが、「多様性」だけではありません。
「紛争」の「高度化」と「複雑化」もまた、強調しておくべきでしょう。
その象徴が、小石川2丁目の「ル・サンク小石川後楽」の訴訟です。
事業者側の1社が最高裁に上告する事態(行政訴訟)になっていることに加え、その会社は最近になって新たに民事訴訟も起こしているのです。
同社らが土地を取得したには2003年10月でしたから、そこから15年余りも経っていることになります。
建物の規模も経緯も事情も全く異なりますが、目白台3丁目の長屋住宅も、東京地裁、東京高裁での裁判、さらに新たな東京地裁での裁判を含めて複雑な経緯を辿っています。
私の個人的な見解からすれば、「文京区都市マスタープラン」を策定(あるいは見直す)際には、こうした「建築紛争」についても正面から取り上げ、文京区が目指す方向性や将来像として、「建築紛争ゼロ」「建築紛争が起きない街」を打ち出す必要があるように思っています。
「まちづくり推進要綱」を全面改定する際や、新たに「『文の京』まちづくり基本条例」といった条例を制定する際も同様に、「建築紛争ゼロ」に向けての手法や手続き、仕組みを盛り込むことが欠かせないと考えます。(続く)
(2019年6月4日)
◆先週に続き、「文京区都市マスタープラン2011」に出てくる「紛争」あるいは「近隣紛争」について考えたいと思います。
素人ながら疑問に感じるのは、なぜ「紛争」という2字熟語を使うのか?
なぜ、4字熟語にした場合、「近隣紛争」という言葉になるのか? ということです。
もちろん、「近隣紛争」という言葉は一般的に使われていますから、「特別な造語を使ってまで…」というようなことを主張するつもりはありません。
しかし、「近隣紛争」というよりは「建築紛争」といった方が的確であり、区民目線の言葉遣いだと思うわけです。
「近隣紛争」というと、「建築物」によって引き起こされる「紛争」である点が見えなくなるほか、あたかも「近隣」の区民こそが問題であり、「近隣」の区民同士が紛争をしているかのような印象を与えかねないからです。
「紛争」によって大きな被害を被り、苦痛と負担を強いられているのは「近隣」の区民であるのに、あたかも”加害者”側であるかのような表現の仕方はなくすべきですし、少なくとも「文京区都市マスタープラン」で使うべきではないでしょう。
さらに踏み込んで言えば(区民の穿った見方かもしれませんが…)、「建築紛争」という言葉を敢えて使わないようにしているのあり、それは不動産業界や建築業界に忖度してのことと思えてしまいます。
「まちづくり推進要綱」を全面改定する際や、新たに「『文の京』まちづくり基本条例」といった条例を制定する際には、「建築紛争」の防止に真正面から向き合ってほしいと思います。(続く)
(2019年6月3日)
◆文京区における「紛争」や「近隣紛争」の要因が「建築物の高さ」だけではないことは、千石4丁目におけるユニ・アジアキャピタルジャパンが手掛ける「ALERO千石Ⅱ」や、横山産業による小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」を見ても明らかです。(※区民の立場としては反対運動があることに鑑み、”紛争”と認識しています)
隣地境界線との「隔離」の問題も大きな要因のひとつであり、いずれのケースも隣地ギリギリに建物を建てることへの反発が起きています。
横山産業による小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」を巡っては、「文京区都市マスタープラン2011」で打ち出した方向性や将来像との整合性の問題もあります。
そもそも”紛争”になる構造的な要因として、設計を固める前における「事前協議」の必要性を指摘する声も出ています。
安易な”条例逃れ”をいかに防ぐかという問題点を提起する意見もあります。
これらは、文京区のワンルーム条例(正式名は「文京区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」)や、中高層条例(正式名は「中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整及び開発事業の周知に関する条例」)の見直しの必要性へとつながっていきます。
しかし、「文京区都市マスタープラン2011」ではそうした点への言及は一切ありません。
「文京区都市マスタープラン2011」を見直す際には、「紛争」あるいは「近隣紛争」が多種多様になっていることへの言及が不可欠であると思いますし、「まちづくり推進要綱」を全面改定する際や、新たに「『文の京』まちづくり基本条例」といった条例を制定する際には、多様な「紛争」が区民を苦しめ、負担を強いているという現実を踏まえることが欠かせないといえます。(続く)
(2019年5月31日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「住環境の悪化」との関連で、「建築紛争」について考察してみてみたいと思います。
実は、「文京区都市マスタープラン2011」に「建築紛争」という言葉は登場しません。
代わりに出てくるのは「紛争」または「近隣紛争」で、3カ所あります。
1カ所目は、区長のあいさつの中の「近隣紛争の防止を目的とした『建築物の高さの最高限度の誘導方針』」というくだり。
2カ所目は、土地利用の「これからの主な課題」の中の「建築物の高さに関する紛争が発生しています」という部分。
3カ所目は、「建築物の高さの最高限度の誘導方針」のところの「突出した高さの建築を抑制し、近隣紛争の防止を図ります」というところです。
3つに共通するのはいずれも「建築物の高さ」であり、逆に言うと「文京区都市マスタープラン2011」では「建築物の高さ」以外を要因とする「紛争」や「近隣紛争」はないかのような書き方です。
しかし、それは本当でしょうか。2011年版の策定当時、「紛争」「近隣紛争」は「建築物の高さ」に限定されたものだったでしょうか。
当時の状況の分析は措くとしても、少なくとも現状は大きく異なっているわけですから、「文京区都市マスタープラン2011」を見直しは必須と言えますし、「まちづくり推進要綱」を全面改定する際や、新たに「『文の京』まちづくり基本条例」といった条例を制定する際には、必ず様々な要因による「建築紛争」が起きており、それを防ぐ手立ても必要だという認識を持つ必要があるでしょう。(続く)
(2019年5月30日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」にある2番目を引き続き見ていきます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化が生じています。また、一部に過度な敷地の細分化を伴う住宅建設が見られるようになり、住環境の悪化が懸念されます。これらの状況を踏まえた良好な住環境の形成が必要です。
今回は、「住環境の変化」と「住環境の悪化」という言葉に着目してみました。
両方とも、「文京区都市マスタープラン2011」で出てくるのはここだけです。
「住環境の変化」とは文脈上、「住環境の悪化」と置き換えてもいいかと思いますが、ここで明らかになるのは、「住環境の悪化」に関する記述がほとんどないということです。
「住環境の悪化」という言葉が1カ所出てくるだけなのです。
しかも、「住環境の悪化」という言葉が使われている文章は、「住環境の悪化が懸念されます」であり、あたかも策定時点において「住環境の悪化」が顕在化していなかったかのような書き方になっています。
文京区の住宅地で何が起きているのか--。
この詳細な現状把握なくして、いくら課題を挙げ、あるべき方向性を描いてみたところで現実離れしたものになるのは必然でしょう。
「文京区都市マスタープラン2011」を見直す際には、「住環境の悪化」がどのように進んでいるかを必ず入れてほしいと思いますし、「まちづくり推進要綱」を全面改定する際や、新たに「『文の京』まちづくり基本条例」といった条例を制定する際には、閑静な住宅地における「住環境の悪化」をいかに食い止めるかという視点を大切にすべきではないでしょうか。(続く)
(2019年5月29日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
2つある課題のうちの2番目を再掲します。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化が生じています。また、一部に過度な敷地の細分化を伴う住宅建設が見られるようになり、住環境の悪化が懸念されます。これらの状況を踏まえた良好な住環境の形成が必要です。
最後のところに「良好な住環境の形成が必要です」と書いてあります。
「文京区都市マスタープラン2011」の中で、「良好な住環境」という言葉はここで初めて登場し、これを含め全部で16カ所出て来ます。
しかし、「良好な住環境」とは具体的にどのような状態をいうのか全く書いてないのです。
意図的に言及しなかったのか、「良好な住環境」とはどういう状態を指すのか言及することなど全く念頭になかったのかは分かりません。
ですが、それぞれの自治体にとって「良好な住環境」のあるべき姿は微妙に異なるでしょうから、文京区にとって(=文京区民にとって)「良好な住環境」とはどういう状態を指すのか、あるいはどういう条件を満たした時に文京区にとっての「良好な住環境」」と言えるのか、説明する必要があるでしょう。
抽象的な表現で区民を煙に巻く意図がないのであれば、「文京区都市マスタープラン2011」を見直す際には必ず入れてほしいと思います。
当然のことながら、「まちづくり推進要綱」を全面改定する場合、新たに「『文の京』まちづくり基本条例」といった条例を制定する際にも盛り込むべきだと考えています。(続く)
(2019年5月28日)
◆前回に続いて、「転入者」にとっての住環境をいかに整えるかという視点に立って考えます。
「住環境」には、「居住環境」も含まれるはずです。
そうであるなら、「転入者」の「居住環境」を守るという視点も欠かせないはずです。
例えば、小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」建設計画、千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」建設計画は、「転入者」の「居住環境」を守るという視点で設計されているでしょうか?
これらのマンションが、「住みたくなる」住環境、「住みたいと思える」住環境を整えることにつながっているでしょうか?
実は両方とも、建物物の高さは10mギリギリであり、居室内の天井高は、通常のマンションより低くなっています。
居住環境としては天井が低く、圧迫感のある部屋と言えるでしょう。
もちろん、こうした「ワンルームマンション」が悪いと言っているわけではありません。
文京区に相応しくないと言いたいところですが、敢えてそうも言いません。
少なくとも言えることは、こうした「ワンルームマンション」は、「文京区基本構想」で打ち出したまちづくりの将来像に沿ったものではなく、「文京区都市マスタープラン2011」の方向性ともそぐわないのではないかということです。
文京区が「だれもが住み続けたい・住みたくなる快適で魅力的なまち」という理想を取り下げ、「地域の特性を活かしたまち並みの保全・創出や、身近な場所で自然に親しむことのできるまちづくりなどを通じ、だれもが住み続けたい、住みたいと思える快適な環境が整った、潤いと魅力にあふれたまちを目指」すことを断念するのであれば、小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」や千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」のようなものが続々とできて構わないでしょう。
しかし、理想を掲げ続けるのであれば、相応しくない建物が建つのを防ぐ手立てを考えなければ、「基本構想」も「マスタープラン」も絵に描いた餅になり、その実害を受けるのは、長年文京区に愛着を持って住み続けている区民ということになってしまいます。(続く)
(2019年5月27日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
もう一度、2つの課題を再掲します。
○住宅は量的には充足していますが、高齢者や障害者、子育て世帯などの多様な住宅需要に対応するため、良質な住宅ストックの形成と、その有効活用が望まれます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化が生じています。また、一部に過度な敷地の細分化を伴う住宅建設が見られるようになり、住環境の悪化が懸念されます。これらの状況を踏まえた良好な住環境の形成が必要です。
しかし、ここで言及されている「課題」はあくまでそこに住む区民(既に住んでいる区民)であって、これから文京区に住みたいと思う人、住もうとしている人ではありません。
「文京区基本構想」では、「だれもが住み続けたい・住みたくなる快適で魅力的なまち」を掲げ、「地域の特性を活かしたまち並みの保全・創出や、身近な場所で自然に親しむことのできるまちづくりなどを通じ、だれもが住み続けたい、住みたいと思える快適な環境が整った、潤いと魅力にあふれたまちを目指します」と謳っています。
そうであるなら、「住みたくなる」住環境、「住みたいと思える」住環境を整えることも重要ではないでしょうか。
「文京区都市マスタープラン2011」を見直す際、「まちづくり推進要綱」を見直し条例化する際には、転入者にとっての住環境を整えるという視点も組み込むべきだと考えます。(続く)
(2019年5月24日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」の主眼は、ひと口で言えば「良好な住環境の形成が必要」ということに尽きるでしょう。
しかし、小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」建設計画、千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」建設計画でも、これまでの文京区の対応を見る限り、「良好な住環境の形成が必要」であるとの認識に欠けるように思えてなりません。
本当に文京区の閑静な住宅街において、「良好な住環境の形成が必要」であると考えているなら、建築主(開発事業者)に対してもっともっと強力な指導をしてほしいところです。
区議会(区議)も、区の対応が生ぬるく、「良好な住環境の形成が必要」との認識に欠けると本当に思ったなら、もっともっと区に対する働きかけを強めてほしいと思います。
そして、「良好な住環境の形成」は「良質な住宅ストックの形成」と連動しており、「良質な住宅ストックの形成」を通じて「「良好な住環境の形成」が成し遂げられる面も大きいでしょう。
「文京区都市マスタープラン2011」の見直しの際にはその点にも言及するとともに、そうした背景のもとに「『文の京』まちづくり基本条例」といった条例を制定してほしものです。(続く)
(2019年5月23日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化が生じています。また、一部に過度な敷地の細分化を伴う住宅建設が見られるようになり、住環境の悪化が懸念されます。これらの状況を踏まえた良好な住環境の形成が必要です。
わたしは、「また」という接続詞で結ばれた2つの文章について、あるひとつの違和感を持っています。
それは、前者の文章が「中高層建築物の増加により(中略)変化が生じています」となっている一方、後者の文章は「一部に過度な敷地の細分化を伴う住宅建設」で「住環境の悪化が懸念されます」となっているからです。
後者の文章については「一部」「過度な」という修飾語が付いていますから、限定的ではあるわけですが、あたかも「中高層建築物の増加」は単なる「変化」しかもたらさないが、「敷地の細分化を伴う住宅建設」はあたかも「住環境の悪化」を引き起こすかのような印象を植え付けるからです。
千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」の建設計画について言えば、何を以て「一部」の「過度な」敷地の細分化と判断するかは措くとして、「デザイナーズワンルームマンション」が建つよりも、敷地を細分化して戸建て住宅が建った方が「住環境の悪化」は防げると思います。
千石4丁目では、ここ数年、土地の細分化は進んでいますが、細分化して戸建て住宅が建ち、ファミリー層が入居していることを考え併せると、カプセルホテルやワンルームマンションが建つより、良好な住環境が保たれます。
その意味で、わたしに言わせれば、「中高層建築物の増加により、日照や通風などの点で住環境の悪化や地域コミュニティの悪影響が生じています」ということになります。
「文京区都市マスタープラン2011」の書き方は、どうも中高層ビルのデベロッパーに「忖度」した表現になっているとしか思えません。
「文京区都市マスタープラン2011」を見直す際は、区民目線(=住民目線)も考慮に入れ、もっと中立・公平・公正な書き方にしてほしいと思いますし、「まちづくり推進要綱」の全面見直しも、区民目線(住民目線」を念頭に置いて改訂作業を進めてほしいと思います。(続く)
(2019年5月22日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」の2項目目に戻って考えます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化が生じて
います。また、一部に過度な敷地の細分化を伴う住宅建設が見られるようになり、住環境の悪化
が懸念されます。これらの状況を踏まえた良好な住環境の形成が必要です。
「中高層建築物の増加」が与えるその地域の価値や隣家の資産価値に対する影響も考えるべきではないでしょうか。
例えば、小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」や千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」の隣地に住宅を持っている区民にとって、これらのマンションが建つことは資産価値の目減りにつながるでしょう。
なぜなら、良好な低層住宅が建ち並ぶ閑静な住宅街の土地なら購入しようと思っても、敷地境界のギリギリまでめいっぱい建てられた「巨大なワンルームマンション」や「デザイナーズワンルームマンション」の隣の土地を買おうと思う(そこに住もうと思う)世帯はなかなかいないからです。
結果として、そこの地価は下がり、地域としての価値も下がるでしょう。
例えば、日照も減る、通風も悪くなる、圧迫感もあるような住環境は耐えられないと考え、引っ越そうと思っても、新たな買い手がなかなか付かないということになりかねません。
「文京区都市マスタープラン2011」を見直す際には、近隣土地・家屋の資産価値、地域としての価値の変動も考慮に入れる必要があるでしょう。
当然のことながら、「文京区まちづくり推進要綱」の全面改定や条例化に当たっては、価値を下げるようなことを止めさせ、価値を上げるように誘導・指導していくようなものにしていく必要があります。(続く)
(2019年5月21日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○住宅は量的には充足していますが、高齢者や障害者、子育て世帯などの多様な住宅需要に対応するため、良質な住宅ストックの形成と、その有効活用が望まれます。
もし、本当に文京区が上記を「課題」と認識しているのであれば、強力な誘導策が必要でしょう。
企業は、ただただ最大利益を求めて開発を進めるわけですから、「~が望まれます」と書いたところで、企業にとっては意味を為さないと言えます。
それより、本当に区が「課題」として捉え、何とかしなければならないと考えているのであれば、まずは「文京区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」を見直すことが必要です。
見直し方によっては、小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」や千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」を、「子育て世帯などの多様な住宅需要に対応するため」の「良質な住宅ストックの形成」に寄与させることも不可能ではありません。
「文京区まちづくり推進要綱」を全面的に見直し、これを「『文の京』まちづくり基本条例」とする際にも、「文京区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」の見直しと連動する形でうまく組み込むことをしていく必要もあるでしょう。
いずれにしても、今のような「場当たり的な」やり方では、「文京区都市マスタープラン2011」で列挙した課題は課題のまま、解決することなく、何十年も先送りになってしまあいます。(続く)
(2019年5月20日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
冒頭、「課題」として出てくるのは、下記の項目です。
○住宅は量的には充足していますが、高齢者や障害者、子育て世帯などの多様な住宅需要に対応するため、良質な住宅ストックの形成と、その有効活用が望まれます。
小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」や千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」は、この「課題」の解決に沿ったものとなっているでしょうか。
わたしには「真逆」に映ります。
少なくとも、両プロジェクトとも「高齢者や障害者、子育て世帯などの多様な住宅需要に対応するため、良質な住宅ストックの形成」を目指した開発計画(設計)になっていません。
「文京区都市マスタープラン2011」は、「有効活用が望まれます」と、あたかも望めばそうなるかのような楽観的表現になっていますが、「課題」として挙げているのに、他人事のような表現には違和感を覚えます。
わたしに言わせれば、「住宅は量的には充足していますが、高齢者や障害者、子育て世帯などの多様な住宅需要に対応するため、良質な住宅ストックの形成と、その有効活用に向けた誘導策が求められます」という表現の方が相応しいように感じます。(続く)
(2019年5月17日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化が生じています
今回は、「中高層建築物の増加」による「地域コミュニティの変化」について考えます。
ここで想定しているのは、「町会」や「自治会」への加入率の低下や「地域コミュニティ」活動への悪影響です。
しかし、それだけではないでしょう。
「文京区都市マスタープラン2011」では、「地域コミュニティの変化」と記していますが、この「変化」が具体的に持つ意味合いは多岐にわたるように思えます。
例えば、小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」--。
総戸数66戸ですから、もし全室埋まれば、66人が住むことになります。
この小日向2丁目における66人の人口の増加が「地域コミュニティ」に与える「変化」は、素直に考えて「悪影響」しか思い浮かばず。地元区民のみなさんもそのことを心配していることと思います。
特に、「小日向」という由緒ある土地柄であるだけに、その土地柄を理解し、愛する住民が多く住んでこそ、「小日向」という土地柄の歴史は続いていくことでしょう。
しかし、「巨大ワンルーム」が誕生すれば、こうした意識が希薄化していくことは否めません。
「新渡戸稲造旧居跡」という歴史性も勘案すればなおのことそう言えるかと思います。
この土地が戸建ての分譲地になるケースと、今回の「巨大ワンルームマンション」ができる場合を比べて見れば自ずと明らかでしょう。
「文京区都市マスタープラン2011」は、「文京区の価値」を維持し、上げるために存在するのであって、価値を下げるような開発に何の効力もないなら、(極論かもしれませんが)作るだけ無意味です。
今回の「巨大ワンルームマンション」の建設を、大した指導もせずに事実上、黙認することは、文京区自らが文京区の価値を下げ、毀損することに手を貸すのだということを全ての区民が理解しなければなりません。(続く)
(2019年5月16日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化が生じています
ここで気になるのが、「中高層建築物の増加により…」という部分です。
「日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化」は、「中高層建築物の増加により」「生じています」と読めます。(※というか、そうとしか読めません)
しかし、千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」や小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」を見ても分かるように、規模の違いはあるものの、たった1棟でも住環境に悪影響を与え、たった1棟でも地域の価値を損ない、引いては文京区全体の価値を下げることにもつながります。
文京区はどうして、敢えて「増加」という文言を入れた(使った)のでしょうか。
「増加」しなければ、「日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化が生じ」ることはないと考えたのでしょうか。
都市計画が「面」(=ゾーニング)で考えるのは仕方ないとしても、「まちづくり」と言葉を変えれば、そこには区民ひとりひとりの住環境まで想定した概念に変わります。
「文京区都市マスタープラン2011」が「面」で考えたとしても、「文京区まちづくり推進要綱」を考える際には、区民ひとりひとりの住環境も念頭に置いたものでなければなりません。
もし、それが出来ないということであれば、「文京区まちづくり推進要綱」ではなく、「文京区都市計画推進要綱」とでも改める必要があるでしょう。(続く)
(2019年5月15日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化が生じている
「マスタープラン2011」では、中高層建築物の増加による「住環境の変化」の具体例として「日照や通風」を挙げていますが、千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」や小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」では、こうした建物ができることによる「圧迫感」の強さも大きな課題と言えるでしょう。
なぜ、こうした「圧迫感」が生じるかと言えば、最大利益を上げるために、敷地いっぱいに建物を建てようとするからです。
「圧迫感」は「日照権」や「通風権」と違い、なかなか定量的に示せませんが、マンションという形状を考えると、戸建て住宅が敷地いっぱいに建つ場合に比べてかなりの「圧迫感」があることは自明でしょう。
マンションが数多く建つ中に、もうひとつマンションが出来るのと、低層の戸建て住宅街に突如として「巨大ワンルームマンション」が建つのとでは、「圧迫感」の度合いは自ずと異なります。
「文京区都市マスタープラン2011」を見直す際には、相隣関係における建物の「圧迫感」という点も課題として明記して、解決を図るべきですし、「まちづくり推進要綱」の全面見直しにおいても、何らかの形で言及すべきだと思います。(続く)
(2019年5月14日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化が生じている
「マスタープラン2011」では、中高層建築物の増加による「住環境の変化」の具体例として「日照や通風」を挙げていますが、区民にとって重要なのはたった1棟だけであっても大問題だということです。
文京区全体を俯瞰すれば、「中高層建築物の増加」によって各地で「日照や通風などの住環境の変化が生じ」ることも大問題ですが、だからといって少なければ問題がないとは決して言えません。
千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」や小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」は、地元の近隣住民にとってみれば、規模の大小は違いますが1棟に過ぎず、たった1棟のマンションが地域全体に大きな影響を与えるのです。
「文京区都市マスタープラン」という性格上、仕方ないかもしれませんが、「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を読むと、1棟だけであっても大問題であるということが読み取れません。
なぜ、こうした”齟齬”が生じるのかと言えば、区民目線で、区民ひとりひとりに寄り添うという視線に欠けている(あるいは足りない)からではないでしょうか。
「文京区都市マスタープラン2011」を見直す際には、すべての項目に於いて、「区民目線」で、「区民ひとりひとりに寄り添う」という視線が貫かれているかどうか、常に振り返りながら見直し作業に取り組んでほしいと思います。(続く)
(2019年5月13日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化が生じている
今回取り上げるのは「通風」という部分です。
「風通し」のいい住環境もまた、良好な住環境の条件と言えるのではないでしょうか。
しかし、千石4丁目の「デザイナーズワンルームマンション」といい、小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」といい、最大利益を上げるために、敷地めいっぱいに建物を建てようとしており、隣家を含めて、「風通し」のいい住環境に対する配慮は皆無と言わざるを得ません。
ちなみに「通風権」は、「日照権」と並ぶ相隣関係における重要な権利です。
インターネット検索すると、下記のような説明がありました。
「今まで確保されていた通風を遮らない権利が通風権です。例えば、隣家が増築されたことによって今までの風通しが遮られ、生活上の快適さが損なわれるだけでなく、住宅自体の老朽化を早めるという財産的な損害を受けるケースなどが考えられます」
「さらに日常生活でも洗濯物の乾きが遅くなったり、蒸し暑さがひどくなったりという精神的・肉体的な苦痛を伴うこともあります」--。
低層住宅街の中に突如として中高層建築物が出来れば、日照や通風などの住環境の悪化が生じるのは避けられません。
文京区におけるまちづくりにおいて、閑静で良好な住宅地の「日照権」や「通風権」の問題をどう位置付け、課題の解決を図るのか--。
「文京区都市マスタープラン2011」の見直しとともに、「文京区まちづくり推進要綱」を「『文の京』まちづくり基本条例」」(仮称)に格上げするなどの対策が望まれます。(続く)
(2019年5月10日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化が生じている
この課題は、小日向2丁目の「巨大ワンルームマンション」建設計画でも生じています。
設計図によると、この建物は南側の境界線近くいっぱいに建ち、逆に北側はバルコニーや窓先空地を確保していることもあり、余裕があります。
どうして南側の境界線近くいっぱいに建てるかといえば、北側は日影規制の関係で、境界線近くいっぱいまで建ててしまうと、上階層を大きく削らねばならないからです。
つまり、敷地面積と容積率を最大限活用し、最大の居住床面積を確保して最大利益を上げるには、この設計しかないというわけです。
しかし、その結果、近隣住居においては、まさに中高層建築物により、日照や通風などの住環境の変化が生じます。
「文京区都市マスタープラン2011」では、敢えて「変化」という中立的な言い回しがされていますが、実態は、日照や通風などの住環境の「悪化」が生じていると言っても過言ではないでしょう。
「文京区都市マスタープラン2011」の策定から10年近く経ちますが、「課題」が「課題」のまま放置され、有効な具体策が打たれていないと思わざるを得ません。
文京区は、「課題」を「課題」としたまま、このまま放置するのでしょうか。
早急に「文京区都市マスタープラン2011」を見直すとともに、「文京区まちづくり推進要綱」を「『文の京』まちづくり基本条例」」(仮称)に格上げし、区民の住環境を守る施策を講じるべきと考えます。(続く)
(2019年5月9日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
ユニ・アジアキャピタル ジャパンが千石4丁目で計画している「デザイナーズワンルームマンション」を例に取り、考えましょう。
この計画は、「文京区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」「中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整及び開発事業の周知に関する条例」の対象外です。
しかし、敷地いっぱいに建物を建てる計画であり、高さも10mは切るものの9.98mとなっています。
この「マンション」が計画通り建つと、北側の隣家(2階建て)の日照権は侵害を受けることになります。
この土地にはもともとマンションが建っていましたから、「新しいマンションが建っても北側隣家の日照時間はそれほど変わらないのでないか?」と思う人がいるかもしれません。
ですが、もともと建っていたマンションは北側に階段が設けられていたこともあり、北側の離隔(隣家との境界線からの距離)はそれなりに間隔を取っていたほか、西側には駐車スペースが設けられており、その分、北側隣家に対する日照は確保されていたのです。
ところが、今回の「デザイナーズワンルームマンション」建設計画では、北側も西側も敷地いっぱいに建てることになっており、これでは北側隣家の日照はほとんど確保できなくなってしまうのです。
たった1軒の出来事とは言え、「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」の「中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化が生じている」という事態が象徴的に表れていると言えるのです。(続く)
(2019年5月8日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
ユニ・アジアキャピタル ジャパンが千石4丁目で計画している「デザイナーズワンルームマンション」建設計画は、「文京区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」「中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整及び開発事業の周知に関する条例」の対象外であり、後は建築確認済証の交付を受ければ、工事が始まります。
上記を踏まえ、建築主(開発事業者)、文京区とも、この建設計画が「合法」「適法」であることを主張するかと思います。
しかし、両者の主張は、あくまで文京区の条例、都市計画法、建築基準法という限られた法制度において「合法」「適法」である点を決して忘れてはなりません。
「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」では、「中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化が生じている」と記載されており、これらは日本国憲法第13条の「幸福追求権」を根拠にした「環境権」を指しています。
つまり、区民の「環境権」という点においても「合法」「適法」であって、はじめてその「デザイナーズワンルームマンション」は「合法」かつ「適法」と言えるのであって、文京区も区民の「環境権」を蔑ろにしてはならないはずです。
文京区が「文京区都市マスタープラン2011」において、「住環境」の「課題」として認識している以上、都市計画部住環境課は、日本国憲法第13条の「幸福追求権」を根拠にした区民の「環境権」(=日照権等)が侵害されるようであれば、建築主(開発事業者)に対し、強力に指導する義務が生じると考えるべきでしょう。
もし、区民の「環境権」(=日照権等)が侵害されることが分かっていながら、建築主(開発事業者)に対して有効な指導をしないのであれば、それは行政の「不作為」に他ならず。その「不作為」を区議会(区議)が見て見ぬふりをしていたのであれば、執行機関の監視機能を果たしていないと言われても仕方ありません。(続く)
(2019年5月7日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化が生じている
という点は、この10年近い間でますます深刻になりつつあり、看過できません。
例えば、ユニ・アジアキャピタル ジャパンが千石4丁目で計画している「デザイナーズワンルームマンション」建設計画--。
地下1階/地上4階建て、戸数は15戸ですから、どこにでもありそうなワンルームマンションかもしれません。
高さは9.98mで、10mを切っていますから、文京区が定める「中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整及び開発事業の周知に関する条例」の対象外です。
ちなみに文京区には、「文京区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」もありますが、この条例の対象になるには以下の2つの条件が該当しなければなりません。
1.専用面積(ベランダ、バルコニー、メーターボックス、パイプスペース等を除く)が40平方メートル未満の住戸をワンルーム形式の住戸という。
2.共同住宅、寄宿舎又は長屋で、ワンルーム形式の住戸が10戸以上
しかし、千石4丁目で計画されている「デザイナーズワンルームマンション」は設計を工夫することで、この条例を逃れています。
「条例逃れ」という表現が相応しいかどうか、見解は分かれるところかもしれませんが、建築主(開発事業者)自らが「第1回説明会」において、「条例逃れ」であったことを公言していますから、周りがあれこれ言っても始まりません。
建設計画地の用途地域は「近隣商業地域」ですから、10m以上の高さのマンションを建てられるにもかかわらず、「中高層条例」に引っ掛からないように9.98mに抑え、「ワンルーム条例」に引っ掛からないように設計や間取りを工夫し、文京区が定めた2つの条件に合致しないようにしたというわけです。
この「デザイナーズワンルームマンション」が近隣区民にどのような住環境上の影響を与えるかは次回以降に述べます。(続く)
(2019年4月26日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「④住宅・住環境」に関する「これからの主な課題」をみていきます。
○住宅は量的には充足していますが、高齢者や障害者、子育て世帯などの多様な住宅需要に対応するため、良質な住宅ストックの形成と、その有効活用が望まれます。
○中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化や地域コミュニティの変化が生じて
います。また、一部に過度な敷地の細分化を伴う住宅建設が見られるようになり、住環境の悪化
が懸念されます。これらの状況を踏まえた良好な住環境の形成が必要です。
後段にある2番目の課題から先に考えます。
ここでは4つの課題が含まれています。
1つ目は、中高層建築物の増加により、日照や通風などの住環境の変化が生じている。
2つ目は、中高層建築物の増加により地域コミュニティの変化が生じている。
3つ目は、、一部に過度な敷地の細分化を伴う住宅建設が見られるようになり、住環境の悪化が懸念されること。
4つ目として、上記3点の状況を踏まえた良好な住環境の形成が必要であること。
さて、「住宅・住環境」の問題は、まちづくりを進める上で大きな比重を占めており、次回以降、さらに詳細に検討していきたいと思います。(続く)
(2019年4月25日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「③緑と水」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
○高齢化の進行などによって公園の利用の仕方が変化してきています。利用者のニーズに合った公園の整備や適切な維持・管理などが必要です。
第一に、文京区としての「まちづくり」の基本理念や定義に、「公園」をいう言葉を盛り込むかどうか措くとして、「公園」の整備・再整備も「まちづくり」の重要なテーマです。
第二に、この「都市マスタープラン」は10年近く前に作られたものですが、その後、「多様性」という概念がクローズアップされ、「公園」の整備・再整備に当たっても「多様性」の確保が難しい問題として出てきたといえます。
それは、「利用の仕方」の多様性であるとともに、「利用者のニーズ」の多様性でもあります。
最後の最後は、民主主義的な決め方になるかとは思いますが、再整備するに当たっても、これまで通りのやり方が通用するとは限りません。(続く)
(2019年4月24日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「③緑と水」に関する「これからの主な課題」をみていきます。
課題として、以下の2点が指摘されています。
○緑被率は東京23区の中で第1位(※1)ですが、緑は潤いのある美しい都市環境の形成や、ヒートアイランド現象の抑制、大気汚染の浄化、地球温暖化の防止などにおいて、重要な役割を果たしていることから、区民等と区が協働して緑の保全や緑化の推進に取り組むことが必要です。(※1=東京23区における緑被率の順位は、文京区のみどり(平成17年3月/文京区)によります)
○高齢化の進行などによって公園の利用の仕方が変化してきています。利用者のニーズに合った公園の整備や適切な維持・管理などが必要です。
まず、「みどり」に関してですが、「都市マスタープラン」に「区民等と区が協働して緑の保全や緑化の推進に取り組むことが必要です」と明記してあることからも、文京区としての「まちづくり」の基本理念や定義を考える上で、外せないキーワードになるかと思います。
文京区の「まちづくり」は、「みどり」の保全や「緑化の推進」なくして成立しにと言っても過言ではないでしょう。
「緑被率」は、「みどり」を測る上での指標のひとつにすぎませんが、この順位を上げるも下げるも、「まちづくり」の中で、いかに「みどり」を守り、増やしていくかにかかっているといえます。
そうした重要なものであることを、「まちづくり」の基本理念や定義の中で含ませる必要があると思っています。(続く)
(2019年4月23日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における「②道路・交通」に関する「これからの主な課題」を引き続きみていきます。
「都市マスタープラン」で「これからの課題」として指摘されている以上、事業者においては、様々な地元区民の心配や懸念を払拭するために、説明責任を果たす上で最大限の努力を重ねなければならないことは言うまでもありません。
また、区においても、地元区民がこれだけ心配しているわけですから、地元区民の不安を払拭すべく、やはり指導面で最大限の努力をしなければならないでしょう。
同時に、区議においては執行機関(区)のチェック機能を果たす責務を担っているわけですから、区の指導が十分なのかどうか、絶えず確認し、指導が十分でなければ、そのことをしっかり指摘し続けなければなりません。
もし、事業者においても区においても、そうした最大限の努力ができない(あるいは、仮にしたとしても地元区民の懸念を払拭できない)とするなら、計画の撤回か、計画の全面的な見直しが必要と言えます。
文京区の「まりづくり」の基本理念と定義を考える上で、こうした事態が足元で進んでいるのだということを忘れてはならないでしょう。(続く)
(2019年4月22日)
◆「文京区都市マスタープラン2011」における②道路・交通」に関する「これからの主な課題」をみていきます。
5項目あるうちの2つは以下のようになっています。
○主要幹線道路や生活幹線道路のうち都市計画道路が未整備な区間は、歩行空間が十分に確保されていない状況にあります。安全かつ快適な道路にするために拡幅整備が必要です。
○文京区の交通事故件数は減少傾向にあるものの、区全体の事故件数に占める主要生活道路や生活道路などの区道における事故の割合は、2割前後で推移しています。市街地内において、歩行者が安全かつ安心して通行できる道路の整備が必要です。
こうした課題があるなか、小日向2丁目や千石4丁目では、建設計画地周辺の道路事情を事前に把握しないまま、土地を購入した事業者が無理なマンション計画を強引に進めようとしているわけです。
千石4丁目で計画されている「デザイナーズマンション」は規模も小さいですが、小日向2丁目の計画は総戸数66戸(1K・1DK)で、「巨大ワンルームマンション」と言っていいかと思います。
事業者側のこれまでの説明などによると、実際に工事が始まると、3tダンプ車やミキサー車が1日に70台前後往復することになると言います。
これでは、周辺区民の日常生活に支障が出るだけでなく、高齢者や子どもを交通事故の危険に巻き込みかねません。
道路の傷みもかなりの程度になるのではないかと心配になるのも無理はないと思います。(続く)
(2019年4月12日)
◆「文京区都市マスタープラン」の「土地利用」における「これからの主な課題」の4番目を見ていきます。
○大学の都心回帰傾向による施設の建設及び建替え等に伴う機能更新(※1)や、病院などの大規模敷地における施設の老朽化等に伴う機能更新などが今後想定されます。これらの機会を捉えた地域貢献など、適切な土地利用の誘導が必要です。
この課題は一定規模の特定施設に限っていますが、「地域貢献など、適切な土地利用の誘導が必要」であるとの部分は、特定施設にとどまりません。
小さな戸建て住宅の建て替えであったとしても、「この機会を捉えた地域貢献など、適切な土地利用の誘導が必要」であることに変わりはないからです。
逆に言うと、現在の大小様々な建築紛争は、「地域貢献」の視点を欠き、「適切な土地利用の誘導」ができていないことに原因があるでしょう。
文京区としての「まちづくり」の基本理念と定義を考える時、「地域貢献」の視点と「適切な土地利用の誘導」は外せないキーワードであると思います。(続く)
(2019年4月11日)
◆「文京区都市マスタープラン」の「土地利用」における「これからの主な課題」の3番目を見ていきます。
○歴史の風情を感じさせる建築物が減少しています(※3)。区のイメージを形成する緑や寺社、文化財及び史跡などを、まちづくりの中で生かしていくことが望まれます。
※3:「 文京・まち再発見~近代建築からのアプローチ~」(文京区教育委員会/平成10年)によると、1860年代から1945年までに建築された洋風建築物は、昭和55年時点で223件が調査されていますが、平成10年になると、このうち116件(52%)が消失しています。
文京区のまちづくりにおいて、「歴史の風情を感じさせる建築物が減少して」いくことをいかに抑えるかが重要であることが分かります。
それと並行して(あるいは連動して)、いかに「区のイメージを形成する緑や寺社、文化財及び史跡などを、まちづくりの中で生かしていく」かを考えねばなりません。
つまり、文京区としての「まちづくり」の基本理念や定義を考える時、こうした視点を軽んじてはいけないということになります。
モダンなデザイナーズマンションが出来れば若者受けするかもしれませんが、それが進み過ぎれば結果として文京区のイメージが損なわれていくことにもつながるわけです。
だからこそ文京区としての「まちづくり」の基本理念と定義をしっかりしておくことが重要だといえるのではないでしょうか。(続く)
(2019年4月10日)
◆「文京区都市マスタープラン」の「土地利用」における「これからの主な課題」を引き続き見ていきます。
○準工業地域において、マンションなどの住宅の立地が進んだことにより住工混在が生じています(※2)。古くからある地域の住宅と工場との良好な共存市街地を形成することが必要です。
※2:準工業地域は、主に千川通りの沿道地域(小石川・白山)や神田川沿いの地域(関口・水道)に指定されています。地域の工場がマンションへ転換される例が多くみられます。
文京区における「まちづくり」の定義を考える上で、「古くからある地域の住宅と工場との良好な共存市街地を形成することが必要」との部分は大切です。
しかし、「言うは易く行うは難し」で、「良好な共存市街地の形成」とはどのような手法で、どのように実現するのかよく分かりません。
また、「マンションなどの住宅」ということで、集合住宅なのか、戸建て住宅なのかもよく分からないと言えます。
古くからある地域の住宅は、おそらく低層の戸建てでしょう。
それに対して、「地域の工場がマンションへ転換される例が多くみられます」とも書いてりますから、古くからの低層の戸建て住宅と、工場から転換されたマンションとの良好な共存市街地の形成が課題であるとなるでしょう。
文京区としての「まちづくり」の基本理念と定義を考える上で、重要なテーマを示唆しています。(続く)
(2019年4月9日)
◆千石4丁目と小日向2丁目のワンルームマンション--。
立地も規模も事業者も全く違いますが、共通点が3つあります。
1つは、建設地の土地は転売によって事業者が得たものであり、一次取得者の時より地価が上がっているだろうということ。
2つ目は、いずれの事業者もワンルームマンションを建てて、丸ごと別の事業者に売ること(いわゆる1棟売り)を前提にしていること。
3つ目は、いずれも、建設地周辺は通学路があるなど子育て世代が多く、しかも細い道路や一方通行の道路、いわゆる2項道路などがあって、大型工事車両の通行に相応しくないこと--です。
文京区において、「まちづくり」の基本理念や定義をはっきり定めていないことと、こうしたケースの間に直接の因果関係があるかどうかは微妙なところですが、少なくとも事業者にとっては、「まちづくり」の基本理念も定義も定めていないわけですから、後は法令や条例・要綱に則っていれば、自由に好きな建物を建てられると思っても不思議ではありません。
「地域特性を踏まえ建築物を適切に誘導し、秩序ある市街地を形成する」ためにも、それを支え補完するような「まちづくり」の基本理念と定義をしっかりと定める必要があるでしょう。(続く)
(2019年4月8日)
◆文京区としての「まちづくり」の定義を考える上で、「文京区都市マスタープラン」に出てくる、「地域特性を踏まえ建築物を適切に誘導し、秩序ある市街地を形成する」は極めて重要であると思わざるを得ません。
昨日は千石4丁目の事例を紹介しましたが、きょうは小日向2丁目の新渡戸稲造旧居跡地に計画されている「巨大ワンルームマンション」(4階建て、総戸数66戸)を取り上げます。
そもそも、小日向という由緒ある土地柄の第1種低層住居専用地域に、このようなワンルームマンションが相応しいと言えるのでしょうか?
文京区民であれば、即座に「NO!」と言えるかと思いますが、この土地を購入した埼玉県の生コン業者にあっては関係ないのでしょう。
単に土地があり、ワンルームマンションが建てられ、売れる、ということのみを以てして文京区に進出してきたとしか思えません。
そうした場合の”抑止力”というか、最後の”防波堤”になるのは、「都市マスタープラン」であり、文京区であるはずですが、そうなっていないのが悲しい現実です。
「地域特性を踏まえ建築物を適切に誘導し」、閑静な低層住宅地の良好な住環境を守り、「秩序ある市街地を形成する」はずですが、区民からすれば必ずしも「適切に誘導し」ているように映りません。
それもこれも、文京区が「まちづくり基本条例」を制定せず、「まちづくり」の定義もしないことに根本原因があると言っても過言ではないのではないでしょうか。(続く)
(2019年4月5日)
◆千石4丁目の閑静な住宅地で起きている、ワンルームマンション建設問題--。(※建設地の用途地域は「近隣商業地域」です)
ワンルームマンションの事業者にとっては、会社の利益(=投資利回り)最優先かもしれませんが、地域全体の価値(=資産価値)は上がると言えるでしょうか?
一部、近隣商業地域があるとは言え、一帯は第1種住居地域で、閑静な住宅街と言っていいでしょう。
最近、3階建て住宅が増えてはきましたが、戸建てが中心であることもこの地域の住環境を特徴付けていると言えます。
そこに地下1階地上4階のワンルームマンション(高さは9.98m)が敷地いっぱいに建ち、隣接する家屋にとっては陽当たりが悪くなり、相当の圧迫感も感じる住環境になるわけです。
北側の家屋のある土地の地価は下がるでしょう。
周辺の地価はどうしょうか。
いつまた同じようなワンルームマンションが建つか分からないとなれば、この地に戸建て住宅を買おうと思っていた人は二の足を踏むのではないでしょうか。
結局のところ、その地域全体としての価値向上にはつながらないのではないかという懸念を拭えません。
こうしたことがないようにするためにも、文京区としての「まちづくり」を定義を明確にし、それに沿ったまちづくりをする事業者に入ってきてもらうことが肝要と言えるでしょう。(続く)
(2019年4月4日)
◆今、千石4丁目で、まさに「『土地利用』におけるこれからの主な課題」が持ち上がっています。
古いマンションを解体し、その土地の3分の1には地権者が新しい3階建ての戸建て住宅を建て、残り3分の2の土地には不動産会社がワンルームマンションを建てることになりました。
ワンルームマンションは地下1階地上4階--。
それだけならいいのですが、敷地いっぱいに建物を建てる計画のため、北側にある2階建ての戸建て住宅に陽がほとんど当たらなくなる見通しになってしまいました。
旧マンションは西側に駐車スペースがあり、北側には階段があったことから、それなりの離隔距離が保たれていました。
しかし、新しく建てるワンルームマンションは投資利回りを優先してか、最低限の離隔距離しか確保していないのです。
地元区民は事業者に対し、「最低でも旧いマンションが建っていた時と同じ日照時間を確保したい」と求めていますが、事業側は設計の見直しには強く抵抗しています。
文京区には「まちづくり基本条例」もなければ、世田谷区にあるような「住環境条例」もありません。
新しいワンルームマンションは、文京区の「ワンルーム条例」や「中高層条例」の対象外の設計となっており、地元住民にとって設計変更を迫れるような条例や要綱はないのです。
「文京区都市マスタープラン」では、「土地利用」における「これからの主な課題」として、
○中高層建築物が増加し、建築物の高さに関する紛争が発生しています。地域特性を踏まえ建築物の高さを適切に誘導し、秩序ある市街地を形成することが必要です。
と、記載しましたが、「高さ」だけではなく、隣地との「離隔」の問題も重要であることが分かります。
文京区としての「まちづくり」の定義を考える上で、この問題も避けて通れない(念頭に入れて考えねばならない)ことは言うまでもありません。(続く)
(2019年4月3日)
◆「文京区都市マスタープラン」の「これまでの取り組みと主な課題」を引き続き見ていきます。
前回の続きになりますが、中高層建築物の増加について「都市マス」には注記が記載されています。
※1: 国勢調査による一般世帯の住む住宅の平成7年調査と平成17年調査を比較すると、戸建住宅及び1・2階建共同住宅に住む世帯は9,400世帯減少し、また3~5階建共同住宅も94世帯減少しています。これに対して6階建以上の共同住宅に住む世帯は29,449世帯増加しています。
おそらく文京区も、程度の差こそあれ、傾向としては同じなのではないでしょうか。
国勢調査は世帯数で示していますが、棟数も傾向としては同じとみると、低層の戸建て住宅を中心とした住宅地は減少傾向にあると言えるでしょう。
文京区の場合、都心部にありながら、みどりや公園、歴史的な施設に恵まれ、閑静な住宅街が特徴となっていますが、こうした住環境をいかに守るかが、文京区としての「まちづくり」の重要なテーマのひとつと言えるかと思います。
「まちづくり」の定義にそのまま盛り込むかどうかは別にして、文京区の「まちづくり」が6階建以上の共同住宅に住む世帯の増加を肯定するものではなく、低層の戸建て住宅を中心とした低層住宅街を守ることに重点をおくべきであることは多くの区民共通の認識ではないかと思います。
少なくとも、みどり多く閑静な低層戸建ての住宅地がどんどん減って高層マンションに変わっていくのは望ましくないのではないでしょうか。(続く)
(2019年4月2日)
◆「文京区都市マスタープラン」の「これまでの取り組みと主な課題」を見ながら、文京区における「まちづくり」の定義はどうあるべきかを考えていきたいと思います。
道路・交通を除く項目について確認していきます。
①「土地利用」におけるこれからの主な課題は以下のようになっています。
○中高層建築物が増加し、建築物の高さに関する紛争が発生しています。地域特性を踏まえ建築物の高さを適切に誘導し、秩序ある市街地を形成することが必要です。
○準工業地域において、マンションなどの住宅の立地が進んだことにより住工混在が生じています。古くからある地域の住宅と工場との良好な共存市街地を形成することが必要です。
○歴史の風情を感じさせる建築物が減少しています。区のイメージを形成する緑や寺社、文化財及び史跡などを、まちづくりの中で生かしていくことが望まれます。
つまり、文京区の「まちづくり」とは何かを考えるとき、「土地利用」において上記の課題を解決すべきであることを念頭におかなければんらないということになります。
特に1番目は重要でしょう。
ただ、この「都市マス」では「高さ」に対する問題だけを取り上げていますが、実際にはそれだけではありません。
現状の建築紛争を踏まえれば、「中高層建築物が増加し、各地で紛争が発生しています。地域特性を踏まえ建築物を適切に誘導し、秩序ある市街地を形成することが必要です」と言い換えてもいいかと思います。
つまり、文京区の「まちづくり」の定義として、「地域特性を踏まえ建築物を適切に誘導し、秩序ある市街地を形成する」ことが欠かせないということになるでしょう。(※この文章のままというわけではなく、少なくともこうした趣旨を反映したもの、あるいは行間からそのニュアンスが伝わるものという意味です)(続く)
(2019年4月1日)
◆「文京区都市マスタープラン」の対象年度は「平成23年度(2011年度)を基準年として、おおむね20年後の平成42年度(2030年度)を目標年次とします」となっています。
一方で、「改定の考え方」として、「社会経済情勢の変化などにより、見直す必要が生じた場合は、全面的または部分的に見直していくものとします」ともなっています。
しかし、時代の変化が激しい現代において(おそらくそれは10年前もそんなに変わらなかったと思いますが…)、20年後を見据えた計画がすぐ”時代遅れ”になることは分かっていたことであり、10年後前後には見直すことを盛り込んでおくべきだったと思わざるを得ません。
平成23年度(2011年度)から10年後というと、平成33年度(平成21年度)--。
それよりは早まりましたが、奇しくも今年5月からは新しい「元号」に変わります。
10年後に見直すことにしていれば、新元号とともに、新しい「文京区都市マスタープラン」をスタートさせることができただけに残念です。
新元号のもとでの新たな文京区の「まちづくり」をスタートするに当たり、文字通り新時代の文京区としての「まちづくり」の定義を定めることが求められているのではないでしょうか。(続く)
(2019年3月29日)
◆「文京区都市マスタープラン(2011)」の「都市マスタープラン改定の背景」には以下のような記述が見られます。
「区の将来の望ましいまちの姿を展望したとき、文京区固有の貴重なまちの魅力は、これからも失われることなく、生かされ、そして生み出されていかなければならないと考えます。
このため、文京区に住み、働く人がまちに魅力を感じ、誇ることができ、そして区外から訪れたいと思ってもらえるようなまちづくりを進めていくことが重要です」--。
文京区としての「まちづくり」の定義のキーワード(あるいは「キー概念」)を検討する上で、次に引用するいくつかは大切でしょう。
「文京区固有の貴重なまちの魅力」
「これからも失われることなく、生かされ、そして生み出されていかなければならない」
「魅力を感じ、誇ることができ、そして区外から訪れたいと思ってもらえるようなまちづくり」
つまり、文京区における「まちづくり」は、「文京区固有の貴重なまちの魅力」を失うことなく、生かし、生み出していくことも目的としており、さらに「魅力を感じ、誇ることができ、そして区外から訪れたいと思ってもらえるよう」にしなければならないということになるでしょう。(続く)
(2019年3月28日)
◆文京区としての「まちづくり」の定義に欠かせないキーワードは何か?について、「文京区都市マスタープラン(2011)」の中に見付けられないかを探っていきたいと思います。
冒頭、現区長の発言が掲載してあり、タイトルは「安全で快適な魅力あふれるまちづくりをめざして」と書いてあります。
また、後段には「これにより、『豊かな緑と変化に富んだ地形のなかに、歴史と文化が香るまち』の魅力を次世代に継承できるようなまちづくりを、区民の皆さまとともに進めていきたいと考えております」とも書いています。
それを考えると、文京区としての「まちづくり」の定義の中に、その目的として「安全で快適な魅力あふれるまちづくり」、さらには「『豊かな緑と変化に富んだ地形のなかに、歴史と文化が香るまち』の魅力を次世代に継承できるようなまちづくり」が含まれて然るべきだということが分かります。
現区長が盛り込んだとする4つの視点には、①魅力の継承、②地域社会の変化への対応、③地球温暖化等への対応、④効率的かつ効果的な施策の推進があり、このうち①と③は、文京区としての「まちづくり」の定義の中に含めるキーワードの候補になりそうです。
次回以降、「文京区都市マスタープラン(2011)」をさらに詳しく見ていきたいと思います。(続く)
(2019年3月27日)
◆引き続き、「文の京」自治基本条例の各条文の中から、文京区としての「まちづくり」の定義に欠かせないキーワードを見い出していきたいと思います。
(地域活動団体の責務)
第11条 地域活動団体は、地域の課題の解決及び住民相互の連携を図る活動を行う。
2 地域活動団体は、自主的・自律的な活動を行うとともに、自らの発言及び行動に責任を持つ
(区の基本的役割)
第16条 区は、地方自治の本旨に基づいて、住民の福祉の増進に向けて、必要な施策を実施し、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
2 区を構成する各機関は、それぞれの責務を果たすことを通じて、共通の目標である協働・協治の社会の実現を図る。
3 区は、持続可能で健全な区政を実現する。
(地域の担い手の支援)
第19条 区は、区民等の自主性及び自律性を尊重しつつ、地域の課題を解決するための活動に取り組む人々や団体が自主的・自律的に活動できるように支援する。
(各主体相互の活動への参画)
第36条 各主体は、地域の課題を解決するための活動に相互に参画し合い、連携を図るために対話し、交流し、学び合う。
2 区は、区民等が活動に相互に参画し合えるしくみをつくる。
(協働・協治の推進のしくみ)
第42条 区は、区民等とともに、地域の課題の解決に向けて多様な取組を進めるための協働・協治の推進のしくみをつくる。
これら中から、文京区としての「まちづくり」の定義に欠かせないキーワードの候補をピックアップすると、以下が考えられそうです。
「相互の連携を図る」
「自主的・自律的な活動を行う」
「住民の福祉の増進」
「協働・協治の社会の実現を図る」
「自主性及び自律性を尊重」
「相互に参画し合い、連携を図る」
「対話し、交流し、学び合う」
「多様な取組」
これらが文京区の「まちづくり」の定義として盛り込むに相応しいかどうか、少なくとも議論する価値はあると思います。(続く)
(2019年3月26日)
◆「文の京」自治基本条例の各条文にも、文京区としての「まちづくり」の定義に欠かせないキーワードが散見されます。
(協働・協治)
第3条 各主体は、協働・協治の考え方に基づき、相互に理解を深め、それぞれの果たすべき役割と責任を分担し、助け合いながら自主的・自律的に活動を行う。
(参画と協力)
第4条 各主体は、地域の課題を解決するための活動に積極的に参画するとともに、自主的に調整し、協力し合い、連携を図る。
(情報共有)
第5条 各主体は、個人情報の保護に配慮しつつ、それぞれが保有する地域の課題及び地域の課題を解決するための活動に関する情報の共有を図る。
(対等な立場の尊重)
第6条 各主体は、豊かな地域社会の実現に当たり、相互理解を深め、信頼関係を築き、対等な立場を尊重し、地域の課題を解決するための活動を担う。
この中から、文京区としての「まちづくり」の定義に欠かせないキーワードの候補としては、以下が考えられるのではないでしょうか。
「相互に理解を深め」る
「それぞれの果たすべき役割と責任を分担」する
「助け合いながら自主的・自律的に活動」する
「自主的に調整し、協力し合い、連携を図る」
「地域の課題及び地域の課題を解決するための活動に関する情報の共有を図る」
「相互理解を深め、信頼関係を築き、対等な立場を尊重」する
もちろん、文京区としての「まちづくり」の定義の中に、これら全てを盛り込むことは至難の技だとしても、全く要らないという判断にはならないだろうと思っています。(続く)
(2019年3月25日)
◆「文の京」自治基本条例の「前文」は、次のように書いてあります。
「文京区は、歴史的文化的遺産に恵まれた緑豊かな地域です。文京区に集う私たちは、文化の香り高いまち文京区を誇りとし、様々な可能性に富んだこの地を将来に向かって、さらに発展させたいと願っています。
私たちが良好な環境を維持しながら真に文化的にしあわせに暮らすためには、この地に住み、学び、活動するすべての人々が自律した存在として尊重されるとともに、守るべきもの、育むべきものを確かめ、自立した存在として、互いに合意を形成し、協力し合うことが必要と私たちは考えます。
そして、地域社会を豊かなものにするためには、区民、地域活動団体、非営利活動団体、事業者、区が相互に協力し、地域社会の課題を解決するための住民自治の原則を共有のものとすることが大切と考えます。
私たちは、この原則を、ともに活動し、ともに地域社会の課題を解決するという意味で、「協働・協治」と呼び、「文の京」文京区の自治の理念として位置づけます。
私たちは、文京区の自治の理念や基本的なしくみを明らかにし、文京区の自治に関する基本条例として、この条例を定めます」--。
なぜ、わざわざ「前文」を全文引用したかというと、文京区としての「まちづくり」の定義に欠かせないキーワードがあると考えるからです。
「歴史的文化的遺産に恵まれた緑豊かな地域」
「文化の香り高いまち」
「良好な環境を維持しながら真に文化的にしあわせに暮らす」
「自立した存在として、互いに合意を形成し、協力し合う」
「相互に協力」
「地域社会の課題を解決するための住民自治の原則を共有」
「ともに活動し、ともに地域社会の課題を解決する」
これら全てを盛り込めるかどうか分かりませんが、少なくとも、文京区としての「まちづくり」の定義として相応しいか否か、盛り込むべきか否かについて議論すべできしょう。(続く)
(2019年3月22日)
◆文京区における「まちづくり」の目的は何でしょうか?
それは、次のように言い換えてもいいかもしれません。
文京区としての「まちづくり」の定義に欠かせないキーワードは何か?
文京区都市計画課は、①「より良い生活環境を整備する」、②「地域の魅力を高めていく」の2つを挙げましたが、果たしてこの2つで十分かどうか考える必要があるように思っています。
文京区のHPの「文の京」自治基本条例のページに次のような文章が載っています。
「地方分権の時代を迎え、地方自治体は、それぞれ独自の考え方に基づいて、運営に取り組む時代となりました。区民憲章とは、そうした自治体運営の基本姿勢・方向性を示すものです。それにより、全国で約3,200ある自治体の中で、オンリーワンの自治体を目指すものです。区民憲章は、21世紀の自治体にとって欠くべからざるものと考えています」--。
そうであるなら、文京区における「まちづくり」の定義についても。、まちづくり行政の基本姿勢・方向性を示し、全国で約3,200ある自治体の中で、オンリーワンの「まちづくり」の定義を目指してもいいのではないでしょうか。
そうした高い「志」を持って、「まちづくり」の定義づくりに取り組みたいと思っています。(続く)
(2019年3月20日)
◆文京区都市計画課からの回答の中にあった、「まちづくり」の定義は以下のようなものでした。
「『まちづくり』とは、より良い生活環境を整備し、地域の魅力を高めていくための諸活動であり、その諸活動には、道路、建築物に関する事項だけでなく、福祉、観光、生涯学習、医療に関する事項など、様々な活動があると考えております」--。
文法的に分解しながら、考えてみましょう。
主語(主部)+述語(述部)は、「まちづくり」とは+「諸活動である」です。
その後に続く文章は、「諸活動」とは何かを具体的に例示した修飾部です。
「より良い生活環境を整備し、地域の魅力を高めていくため」という部分も「諸活動」の修飾部ですが、「諸活動」の具体的な目的を例示しており、「まちづくり」の目的にも直結する(直接関係する)重要な部分になります。
これらの文法的な分解を念頭に置いた上で、文京区としての「まちづくり」の定義を考える上で、重要なことは何なのかを考えます。
第一に、主語(主部)は、一般論としての「まちづくり」ではなく、「文京区としてのまちづくり」であるという点です。
第二に、上記との関連で、何のためかという「目的」も、文京区の区の特性に即した「目的」でなければならないという点です。
その意味で、「より良い生活環境を整備する」「地域の魅力を高めていく」ということが正しいと言えるのか、さらに仮に正しいとしてこれら2つで十分なのかどうかを考える必要があります。
第三に、「諸活動」(あるいは「様々な活動」)という言葉で一括りにしていいのかどうかという点です。
第四に、仮に「諸活動」(あるいは「様々な活動」)でいいとして、その例示においても「文京区として」という条件が付くわけで、現状の例示でいいのかどうかという点もあるでしょう。
次回以降、さらにそれぞれについて検討を加えていきたいと思います。(続く)
(2019年3月19日)
◆先週の続きになりますが、いきなり「『まちづく』の定義」を募られても、当惑してしまうかもしれません。
そこで提案ですが、「あなたは、文京区としての『まちづくり』の定義に欠かせないキーワードは何だと思いますか?」という募り方はどうでしょうか?
例えば、昨日ご紹介した都市計画課からの回答は以下のようなものでした。
「『まちづくり』とは、より良い生活環境を整備し、地域の魅力を高めていくための諸活動であり、その諸活動には、道路、建築物に関する事項だけでなく、福祉、観光、生涯学習、医療に関する事項など、様々な活動があると考えております」--。
しかし、この中に「みどり」という言葉も、「みどりを維持・保全し…」といったフレーズも入っていません。
ですから、もし、文京区としての「まちづくり」の定義に、「みどり」という言葉や「みどりを維持・保全し……」というフレーズが欠かせないと考えるなら、それらの「キーワード」を提案するようにすれば、応募の”ハードル”はかなり下がるのではないでしょうか。
一方、区民は区民の方で、区民としてどのようなキ^ワードが含まれることが望ましいかを、様々な団体(町会・自治会、NPOを含めて)がアンケートしてもいいかもしれません。
最終的には、「文の京」自治基本条例で謳う、「協働・協治」の精神・理念に基づいて考えていくわけですから、多くの区民に考えてもらうきっかけづくりも大切になるかと思います。(続く)
(2019年3月18日)
◆文京区民のひとりが、「区民の声」を通じて、文京区における「まちづくり」の定義の必要性を問うたところ、都市計画部都市計画課から以下のような回答がありました。
「『まちづくり』とは、より良い生活環境を整備し、地域の魅力を高めていくための諸活動であり、その諸活動には、道路、建築物に関する事項だけでなく、福祉、観光、生涯学習、医療に関する事項など、様々な活動があると考えております」--。
これが都市計画課の見解なのか、都市計画部の見解なのか、あるいは区としての公式見解なのか分かりませんが、区からこうした形で回答があったことは、「協働・協治」の精神で議論を深めていく上で高く評価したいと思います。
ただ、この回答における「まちづくり」の定義は一般的と言わざるを得ず、全国のどの自治体においても通用するような気がするのです。
つまり、「文京区としての…」というところが弱いと思うわけです。
もし、これが「都市計画課」としての回答であるなら、都市計画部各課の意見を聞いてみたいところです
もし、この回答が「都市計画部」としての回答であるなら、庁内各部各課の意見も聞いてみたいところです。
区の全職員を対象に、「文京区としての『まちづくり』の定義としてどのようなものが相応しいと考えますか?」と募ってもいいかもしれません。
文京区の職員の多くは文京区以外の自治体に住んでいるわけですから、それぞれの住んでいる自治体の「まちづくり」と比べ、文京区の「まちづくり」の定義としてどうしたらいいか、新しいアイデアを募ることにもつながるのではないでしょうか。(続く)
(2019年3月15日)
◆今日から文京区における「まちづくり」の定義について、具体的に考えていきたいと思います。
その前に、もしかすると「文京区における『まちづくり』の定義など必要ない」という意見もあるかもしれませんので、私見を述べさせて頂きます。
第一に、「必要ない」という意見それ自体は尊重したいと思いますが、大切なのは「必要ない」という意見そのものではなく、その理由と根拠であるということです。
「必要ない」とする理由と根拠が、正当かつ合理的なものであり、多くの区民が「確かにその通りだと思います」ということになって初めて、文京区としての「まちづくり」の定義は「必要ない」ということにんるのだと思います。
第二に、文京としての「まちづくり」の定義を、「敢えて定義付けすることもないでしょう」という意見もあるかもしれません。
この場合も、なぜ「敢えて定義付けすることもない」と言えるのか、その理由と根拠が大切になります。
第三に、上記2点と関連しますが、文京区として「まちづくり」の定義を決めることのメリット・デメリット、定義を決めないことのメリット・デメリットを洗い出し、総合的に判断する必要があります。
ただ、現状、全国の多くの自治体において、「まちづくり基本条例」が制定され、そうした中でそれぞれの自治体としての「まちづくり」をしっかり定義付けしている傾向が見て取れる以上、一般論としての抽象的な「まちづくり」の概念で「まちづくり」に取り組むのではなく、文京区としての「まちづくり」の定義を定めた上で、それに沿って(則って)取り組むことが望まれることは疑う余地がないはずです。
次回以降、文京区としての「まちづくり」の定義、さらにその定義を定めるための手法について考えていきたいと思います。(続く)
(2019年3月14日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)における「まちづくり協議会」を引き続き見ていきます。
(まちづくり協議会と市の役割分担)
第9条 まちづくり協議会は、地区まちづくり活動を推進し、市は、まちづくり協議会だけでは解決が困難な課題に対する地区まちづくり活動を補完するものとする。
(市の支援)
第10条 市は、まちづくり協議会に対して、次に掲げる支援を行うものとする。
(1) 地区まちづくり活動に関する財政的支援
(2) 次代を担う人材の育成に関する支援
(3) 地区まちづくり活動を推進するために必要な情報の提供
(4) 事務局機能の充実に関する支援
富士市では、「まちづくり協議会」と「市」の役割分担を「条例」の中でしっかり規定しています。
しかし、文京区では、そもそも「まちづくり基本条例」がなく、「まちづくり推進要綱」においても、「まちづくり協議会」と「区」の役割分担は明記されていません。
富士市の場合の「市の支援」は抽象的な内容に留まっているとも言えますが、それでも「まちづくり協議会」に対する自治体の支援のあり方を条例内で定めた意義は大きいと言えるでしょう。
文京区において、「まちづくり推進要綱」を見直すのであれば、富士市のように「まちづくり協議会」に対する「区の支援」に関する規定を盛り込むことが必要ではないしょうか。
もし、それが「要綱」になじまないということであれば、「協働と協治の理念に基づく『文の京』まちづくり基本条例」のようなものを検討し、その中でしっかり定義付けすべきだと思います。(続く)
(2019年3月13日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)における「まちづくり協議会」を引き続き見ていきます。
(まちづくり協議会の取組に関する基本的事項)
第8条 まちづくり協議会が地区の課題解決に向けた活動に取り組むに当たっては、次に掲げる事項を基本とする。
(1) 地区の特性を生かした主体的な活動を推進すること。
(2) 市民等が参画しやすく、透明性の高い運営を行うこと。
(3) 次代を担う人材を育成すること。
(4) 市民等が絆きずなを深めるための交流を促進すること。
(5) 地区内外で活動する団体等と相互に連携すること。
しかし、文京区の場合、「まちづくり活動の取り組み」とは具体的に何なのかや、「まちづくり協議会」が地域の課題解決に向けた活動に取り組むに当たっての「基本事項」は何かといったことは明記していないので分かりません。
敢えて拾っていくと、「文京区まちづくり推進要綱」の(まちづくり協議会)第5条に、「まちづくり推進対象区域において
面的な整備又は保全のためのまちづくり活動を行う団体」との記述が見られるぐらいです。
富士市のケースを見ると、条例において「まちづくり協議会」に関する事項がほぼ全て含まれているように思えます。
文京区において、「文京区まちづくり協議会助成金交付要綱」はありますが、あくまで「助成金交付要綱」に過ぎません。
「まちづくり推進要綱」を見直すのであれば、その中でしっかりと富士市のように「まちづくり協議会」に関する規定を盛り込むことが必要ではないしょうか。
もし、それが「要綱」になじまないということであれば、「協働と協治の理念に基づく『文の京』まちづくり基本条例」のようなものを検討すべきだと思います。(続く)
(2019年3月12日)
◆「条例」そのものに深く入りつつありましたが、静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)における「まちづくり協議会」をみていきます。
まず、富士市における「まちづくり協議会」の位置付けを確認します。
【富士市地区まちづくり活動推進条例】
第6条 市民等は、地区まちづくり活動を中心的かつ主体的に行うため、各地区において自主的にまちづくり協議会を組織するものとする。
2 まちづくり協議会を組織するに当たり必要な事項は、次のとおりとする。
(1) 地区における相当数の市民等をもって構成されていること。
(2) 規約を定めていること。
(3) 規約等の変更、役員の選任その他の重要事項を民主的な手続により決定することが規約等に定められていること。
(4) まちづくり行動計画(地区の課題解決に向けて計画的な事業運営を進めるために必要な事項を定めた計画をいう。)が策定されていること。
(まちづくり協議会の活動拠点)
第7条 まちづくり協議会の活動拠点は、地区まちづくりセンターとする。
文京区の「まちづくり協議会」とは全く異なりますが、それでも共通項を探りながら比較し、学んでいくことは可能でしょう。
例えば、第6条を「認定要件」のようなものと捉えれば、「地区における相当数の市民等をもって構成されていること」というところは押さえておきたいところです。
「相当数」の意味を調べると「かなり多い数」となり、「かなり」はというと「非常にというほどではないが、普通の程度を大分超えているさま」「相当の程度まで行っているさま。また相当の程度以上に達しているさま」であり、「相当」はというと「かなりの程度であること」となり、堂々巡りになってしまいます。
過半数が「相当数」に含まれるのかどうか、仮に「3分の2」だった場合は十分に「相当数」といえるのかどうかなど、区民としてはなかなか判断に困るところです。
行政側にある程度の裁量権の範囲を持たせるためにこのような文言になっているのか、他の理由がある
のか分かりませんが、文京区においてこうした表現を使う場合は「逐条解説」などで丁寧に説明すべきでしょう。
また、「規約を定めていること」「民主的な手続き等により決定することが規約等に定められていること」ともありますが、これらについても具体例を示しながら、丁寧に示すことが親切です。
「まちづくり行動計画」的なものについて策定されていることを「まちづくり協議会」の「認定要件」とするなら、そうした計画の策定を目的に設立する組織を「まちづくり協議会準備会」として認定してもいいでしょう。(続く)
(2019年3月11日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)の「前文」の後段を見ていきます。
「しかしながら、本格的な人口減少・少子高齢社会の到来、居住形態や生活様式の多様化などから、
人と人との距離が広がり、市民の地域への関心が低下することにより、地域コミュニティが希薄化
していくことが危惧されている」という部分は、文京区においても似たり寄ったりの状況と言えるのではないでしょうか。
もちろん、全国の自治体に共通しているかもしれません。
しかし、仮に同じような状況であるなら、それに続く「前文」の文章も、文京区に当てはまると言わざるを得ません。
「今後、様々な地域課題に直面したとしても、こうした課題を解決するためには、「地域の課題は地域が解決する」という地区まちづくり活動の意義を市民一人ひとりが認識するとともに、地区の市民等と行政とが連携して地域コミュニティの活性化に取り組んでいくことがますます重要となってきている」--。
「また、活発な地区まちづくり活動を続けていくためには、年齢や性別、あるいは団体や組織等の垣根を越えてお互いを尊重し、それぞれの特性を生かして力を合わせていくことが必要となる」--。
静岡県富士市の場合、こうした状況に鑑みて、「私たちはここに、将来にわたり活力あふれる地域コミュニティの実現に向けて、誰もが誇りを持ち、生き生きと活躍することができる、住民主体の地区まちづくり活動を推進していくため、この条例を制定する」としているわけですが、文京区の場合はどうでしょうか。
現在ある「まちづくり推進要綱」で十分と言えるでしょうか。
課題が生じた部分だけ単に見直せばそれで対応可能でしょうか。
課題が生じているか、いないかに拘わらず、先行事例、先進事例を参考にしながら全項目にわたってひとつひとつ点検していかなければ、”周回遅れ”の状況を挽回することはできませんし、文京区のまちづくりが健全に発展していくとは思えません。
「前文」を置く、「前文」をつくるということは文京区全体のまちづくり行政を俯瞰するとともに、文京区が置かれている社会・経済・文化的な状況を網羅的に把握してはじめて出来ることであり、その点から言っても課題が生じた際に見直すというような”場当たり的”な対応では済まないことが分かるかと思います。(続く)
(2019年3月8日)
◆昨日紹介した、静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)の「前文」から、文京区は何を学べる、あるいは学ぶべきでしょうか。
まず、残念なのは、文京区においては「住民主体の地区まちづくり活動は、これまで多くの先人たちの英知により、豊かに、また、活発に行われてきた」とは必ずしも胸を張って言えないことでしょう。
その次に続く文章も、文京区ではそう言えないところに、文京区のまちづくり行政の課題の一端が見て取れると言えるかもしれません。
「地区それぞれの特色を生かし、長年積み重ねてきた独自の活動の数々は、多くの人々の心の中に地域愛を育み、地域を愛する人々のつながりが地域の力を高め、富士市の活力の源となった」--。
しかし、逆に学べる点もあるかと思います。
それは、「地区それぞれの特色を生かし」、独自の(まちづくり)活動」を今後、「長年積み重ねて」いくことで、「多くの(文京区民の)人々の心の中に地域愛を育み、地域を愛する人々のつながりが地域の力を高め」、文京区の「活力の源」とすることができるようになるということです。
そして、静岡県富士市では「今を生きる私たちには、まちの未来を明るく、魅力あふれるものにしていくために、この活力ある地区まちづくり活動を次の世代へと確実につなぐ務めがある」とするのであれば、文京区でも「今を生きる私たちには、まちの未来を明るく、魅力あふれるものにしていくために、活力ある地区まちづくり活動を」スタートし、「次の世代へと確実につなぐ務めがある」と言えるのではないでしょうか。
「今からでも遅くはない」--。
富士市の「地区まちづくり活動推進条例」を読んでいると、文京区においても先行事例に学びながら、いくらでも追い付くことができるとの思いがしてきます。(続く)
(2019年3月7日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)の「前文」をみてみましょう。
「雄大な富士山に抱かれた、私たちのまち、富士市における住民主体の地区まちづくり活動は、これまで多くの先人たちの英知により、豊かに、また、活発に行われてきた。
地区それぞれの特色を生かし、長年積み重ねてきた独自の活動の数々は、多くの人々の心の中に地域愛を育み、地域を愛する人々のつながりが地域の力を高め、富士市の活力の源となった。
今を生きる私たちには、まちの未来を明るく、魅力あふれるものにしていくために、この活力ある地区まちづくり活動を次の世代へと確実につなぐ務めがある。
しかしながら、本格的な人口減少・少子高齢社会の到来、居住形態や生活様式の多様化などから、人と人との距離が広がり、市民の地域への関心が低下することにより、地域コミュニティが希薄化していくことが危惧されている。
今後、様々な地域課題に直面したとしても、こうした課題を解決するためには、「地域の課題は地域が解決する」という地区まちづくり活動の意義を市民一人ひとりが認識するとともに、地区の市民等と行政とが連携して地域コミュニティの活性化に取り組んでいくことがますます重要となってきている。
また、活発な地区まちづくり活動を続けていくためには、年齢や性別、あるいは団体や組織等の垣根を越えてお互いを尊重し、それぞれの特性を生かして力を合わせていくことが必要となる。
私たちはここに、将来にわたり活力あふれる地域コミュニティの実現に向けて、誰もが誇りを持ち、生き生きと活躍することができる、住民主体の地区まちづくり活動を推進していくため、この条例を制定する」--。
こうした「前文」の存在自体が、市民や住民に対して「まちづくり」に対する関心や意欲を高める効果が見て取れるのではないでしょうか。
しかし、文京区にはこうしたまちづくりに関する「前文」といったものがありません。
文京区に「協働・協治の理念に基づく『文の京』まちづくり基本条例」のようものがない(あるいは制定しない)のであれば、せめて「まちづくり推進要綱」にこうした「前文」を入れるべきであると思いますが、「要綱」制定から30年経っても「前文」はないまま今日に至っています。
地元区民の発意に基づく「まちづくり協議会」に”息吹”を与える意味でも、活動の後押しにつながる建設的で前向きな「前文」が必要なのではないでしょうか。(続く)
(2019年3月6日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)の「条例の骨子」を引き続き見ていきましょう。
(5) まちづくり協議会に関する事項(第6条~第8条)
まちづくり協議会の組織や取組の在り方、活動の拠点等について定めています。
まちづくり協議会の組織等については、
・地区の相当数の市民等によって構成されていること
・規約を定めていること
・重要事項の民主的な手続きによる決定が規約等に定められていること
・まちづくり行動計画が策定されていることを定めています。
また、まちづくり協議会の活動拠点は、まちづくりセンターとして位置づけています。
更には、まちづくり協議会が行う地区まちづくり活動の取組の在り方として、地区の特性を生かした主体的な活動を推進すること、透明性の高い運営を行うこと、市民等の絆を深める交流を促進すること、他団体等と相互連携することを定めています。
(6) まちづくり協議会と市の役割分担(第9条)
まちづくり協議会は、地区まちづくり活動を推進し、市は、まちづくり協議会だけでは解決が困難な課題に対する地区まちづくり活動を補完するという、まちづくり協議会と市の役割分担について定めています。
(7) 市の支援(第10条)
まちづくり協議会に対する市の支援について定めています。
・地区まちづくり活動に関する財政的支援
・次代を担う人材育成の支援
・地区まちづくり活動を推進するために必要な情報の提供
・事務局機能の充実に関する支援
確かに、文京区においても区のHPに「まちづくり活動の支援」のページがあり、以下のような記載があります。
「まちづくりにおいては、区民が中心になって、自分たちのまちをどのようにつくっていくかを検討していくことが重要です。区では、以下のような取組により、区民のみなさんが主体となる地域単位でのまちづくりを総合的に支援しています」--。
「文京区まちづくり推進要綱」には第1条として(目的)が定めてあります。
「この要綱は、文京区都市マスタープランを踏まえ整備又保全の必要性のある区域(以下「まちづくり推進対象区域」という。)について、区民等とも安全で快適なまちづくりを推進すること目的とする」--。
しかし、富士市のHPと比べて明らかなように、(富士市の場合は「条例」で、文京区の場合は「要綱」ですが、まちづくり行政の重要性という意味では同じと考えます)、文京区の説明は見劣りがし、背景や目的に関し、区民への説明不足は否めません。
「まちづくり推進要綱」を見直し、充実させるのであれば、その骨子を区のHP上で区民に分かりやすく、かつ丁寧に掲載する必要もあるのではないでしょうか。(続く)
(2019年3月5日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)の「条例の骨子」を引き続き見ていきましょう。
(4) 市、市民等の責務(第4条、第5条)
活力ある地区まちづくり活動を推進するため、市及び市民等の責務を定めています。市は、市民等の意見が十分に反映された施策を実施すること、また、必要な支援を的確に行うことを責務としており、市民等は、地区の生活環境に関心を高めることと、地区まちづくり活動に参画するよう努めることを責務としています。
ここで重要なのは、行政の責務の部分です。
①市は、市民等の意見が十分に反映された施策を実施すること→文京区に置き換えれば、「区は、区民等の意見が十分に反映された施策を実施すること」となります。
②また、必要な支援を的確に行うことを責務としており→文京区に置き換えれば、「また、区は、必要な支援を的確に行うことを責務としており」となるでしょう。
①に関して言えば、「十分に」というところが大切でしょう。単に「反映された」ではなく、「十分に反映され」ていなくてはならないと言えます。(ただし、「反映され」ていればいいかというと、そうではありません。どのタイミングで区民等が意見を言えるかも重要である点を指摘しておきます)
②について言えば、「的確に」だけではなく、「迅速に」も入れるべきだろうと考えます。
「文京区まちづくり推進要綱」に限って言えば、「必要な支援を的確に行う」ことを責務とした内容にはなっていないと言わざるを得ません。
もちろん「必要な支援」を、「具体的な課題が生じた」場合の「必要な支援」と解釈するか、具体的な課題が生じる前に先手を打って「必要な支援」を講じると解釈するかは意見の分かれるところかもしれません。
しかし、私たち区民が行政に望むのは「課題が生じてから」では遅いのであって、パブリック・サーバント(公僕)であるからには、区民において(あるいは地域において)具体的な課題が生じる前に先手を打って「必要な支援」を講じるのが基本だと考えています。(続く)
(2019年3月4日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)に関して、同市のHPで「条例の骨子」が示されています。
(1) 目的(第1条)
地区まちづくり活動の推進に関し基本理念を定め、市及び市民等の責務を明らかにするとともに、まちづくり協議会、市の支援等に関し必要な事項を定めることにより、持続可能な地域コミュニティづくりに向けた活力ある地区まちづくり活動を推進するという本条例の目的を定めています。
(2) 定義(第2条)
本条例で使用される、地区、市民等、地域コミュニティ、地区まちづくり活動について、それぞれの用語の意義を定めています。本条例において、市民等とは、個人や団体等を含めた用語として使用します。
(3) 基本理念(第3条)
持続可能な地域コミュニティの実現に向けて、住民主体の地区まちづくり活動を進める上で、根幹となる考え方、地区まちづくり活動の在り方を「基本理念」として定めています。
・市民等が自発的かつ主体的に取り組むこと。
・市民等がまちづくりの担い手として、等しく参画する権利を有すること。
・市民等と市が対等な関係でお互いの役割を理解して協働すること。
ここまでのところで、文京区として学ぶ点はどこにあるでしょうか。(※強調しておきますが、静岡県富士市そのものに学ぶというよりも、静岡県富士市の「まちづくり条例」に学ぶということです)
文京区においても、「まちづくりの基本理念」を定めることは必要不可欠でしょう。(※富士市における第3条の「基本理念」を理想としていると言っているものではありません)
「区及び区民等の責務」だけでなく、「事業者(建築主含む)」の責務を明確にすることも必要不可欠でしょう。
文京区においても「まちづくり協議会」なるものを何らかの形で認めていくなら、しっかり定義付けし、それに基づいた「必要な事項」を詳細に定めることは重要です。
そしてなにより、「持続可能な地域コミュニティづくりに向けた活力あるまちづくり活動を推進する」という部分は、具体的な文言をどうするかは措くとして、文京区においても何らかの形で取り込むことは大切ではないでしょうか。
いずれにしても、「目的」「定義」「基本理念」は極めて重要であり、「文京区まちづくり推進要綱」を見直す、あるいは「協働・協治に基づく『文の京』まちづくり基本条例」のような制定するにあたっては、時間をかけて熟議することが欠かせないと言えるかと思います。(続く)
(2019年3月1日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)の「条例検討の経過」を引き続き見ていきます。
条例の前身(あるいは前提)となる「地域の力こぶ増進計画(富士市まちづくり活動推進計画)」は、「『活動実施体制』『ひとづくり』『活動の場・連携』の3つの視点から具体的な方策を示し」たと書いてあります。
翻って、文京区の「まちづくり推進要綱」はどうでしょうか。
設定されたのは30年以上も前のことなので、当時、どのような議を経て「まちづくり推進要綱」ができたのか調べられるかどうか分かりませんが、もし何らかの経緯が記録されているのであれば、検証価値はあるでしょう。
どのような状況のもとで、どのような視点を持って区は「要綱」をつくったのか--。
その時の区の狙いはどこにあり、それはその時々において果たされてきたのかどうか--。
議論を辿ることで、見直しに当たっての議論の仕方も見えて来るのではないでしょうか。
「まちづくり推進要綱」の見直しを区だけで行っていいのかどうか、学識経験者の知見を入れなくていいのかどうか、区民の声は単に「パブリック・コメント」で聞けばいいのかどうかなど、見直しの方法を巡っても検討すべき項目は多岐にわたることを認識する必要があるように思います。
仮に、文京区における「まちづくりの基本理念」や「まちづくりの定義」を盛り込むことを決めたにしても、これら2項目の具体的な文言を固めるだけでも大変な作業が必要になるでしょうし、少なくとも「拙速」だけは避けなければならないことは言うまでもありません。
見直しプロセスの”優劣”や”巧拙”が出来上がったものに大きな影響を与えるものであることだけは肝に銘じておきたいところです。(続く)
(2019年2月28日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)における「まちづくり協議会」を引き続きみていきたいと思います。
同市はHPで、「条例検討の経過」についてコンパクトに説明しています。
「富士市では平成24年3月に、『社会情勢の変化に柔軟に対応できる、足腰の強い、将来にわたって持続可能な地域コミュニティづくり』を基本指針とした『地域の力こぶ増進計画(富士市まちづくり活動推進計画)』を策定いたしました。
この計画では、持続可能な地域コミュニティの実現に向けて、活動実施体制、ひとづくり、活動の場・連携の3つの視点から具体的な方策を示しており、平成26年5月には『まちづくり協議会』の設立、平成28年3月には『まちづくり行動計画』の策定など、住民主体の地区まちづくり活動を活性化するための様々な取組を進めてまいりました。
また、本計画では、地区まちづくり活動の基本理念を共有し、活動の核となるまちづくり協議会の位置付けを明確化するための理念的な条例について検討することが明記されており、これを受けて、平成26年3月に学識経験者や地区団体の代表者、一般公募者等13人を委員とする『富士市まちづくり活動推進条例検討会議』を設置いたしました。
検討会議では、平成28年3月までの2年の間に計12回の会議を開催し、条例に盛り込むべき項目や、これを表現する条文案についての検討が行われ、第12回検討会議において条例の検討会議案が提言されました。市は、この検討会議案をもとにして、条例化に向けた検討を重ねてまいりました」--。
言うまでもなく、文京区においても、「社会情勢の変化に柔軟に対応できる、足腰の強い、将来にわたって持続可能な地域コミュニティづくり」は極めて重要でしょう。
しかし、文京区において「住民主体の地区まちづくり活動を活性化するための様々な取組を進めてまいりました」と胸を張って言えるかというと、疑問に思わざるを得ません。
文京区では今、ようやく30年まえにつくった「まちづくり推進要綱」の見直し作業が始まろうとしているわけですが、果たして小手先の”見直し”で、「誰もが住みたい、住み続けたい」と思うまちづくりの実現に寄与できるものができあがるでしょうか。
たとえ、「まちづくり推進要綱」の見直しであったとしても、文京区のまちづくり行政の基本中の基本となるわけですから(「まちづくり基本条例」があれば話は別ですが…)、『まちづくり推進要綱全面見直し検討会議』のようなものを設置して、「協働・協治」の理念に基づいて区民の衆知を集める必要があるでしょう。(続く)
(2019年2月27日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)における「まちづくり協議会」を引き続き見ていきます。
「富士市まちづくり条例」制定の背景と目的の後半部分を確認しましょう。
例えば「本格的な人口減少・少子高齢社会の到来や、ライフスタイルの多様化などから」「地域コミュニティへの帰属意識や地区まちづくり活動への参画意欲の低下が見られるようになり、市民の地域への関心も薄れることで地域力が低下していくことが危惧されています」というところは文京区も同じ状況であり、区民は同じ危機感を抱いていると言えるのではないでしょうか。
「活力ある地域コミュニティを維持し、地区の様々な課題解決に取り組んでいくためには、市民一人ひとりが『地域の課題は、地域が解決する』という地区まちづくり活動の意義を再確認し、誰もが活動の担い手として参画することが大切になります」というところも、文京区に当てはまるでしょう。
そうであるなら、「将来にわたって持続可能な地域コミュニティの実現に向けて、本区における住民主体の地区まちづくり活動の意義や理念を広く区民と共有し、多くの区民の参画の下で活力ある地区まちづくり活動を推進していくために」「協働と協治の理念に基づく『文の京』まちづくり基本条例」といったものを制定しても、何もおかしくないということになります。
いえ、何もおかしくないどころか、「必要不可欠」であると言っても過言ではないように思えます。
「まちづくり推進要綱」の見直しで対応できるのか、新たに「まちづくり基本条例」を制定した方がいいのか--。
文京区全体の現状を見極めるとともに、将来にわたって持続可能なまちづくりに寄与できるのかどうかも含めて網羅的かつ総合的に検討していく必要があるでしょう。(続く)
(2019年2月26日)
◆静岡県富士市の富士市地区まちづくり活動推進条例(愛称「富士市まちづくり条例」)における「まちづくり協議会」をみていきたいと思います。
同市の場合も「まちづくり協議会」は、いわゆる”行政主導”と言えるものですが、それでも同市の置かれている状況や「まちづくり協議会」の必要性、担う役割については文京区としても学ぶ点が多いと思います。
まず、「富士市まちづくり条例」制定の背景と目的を確認しましょう。
「富士市では、おおむね小学校の通学区域において、多くの市民の参画の下、住民主体の地区まちづくり活動が、豊かに、そして活発に行われてきました。
こうした本市独自の地区まちづくり活動による様々な取組により、身近な地域における人と人のつながりが強まり、高い地域力が形成されてきました。
しかしながら、本格的な人口減少・少子高齢社会の到来や、ライフスタイルの多様化などから、富士市においても、地域コミュニティへの帰属意識や地区まちづくり活動への参画意欲の低下が見られるようになり、市民の地域への関心も薄れることで地域力が低下していくことが危惧されています。
このような中で、活力ある地域コミュニティを維持し、地区の様々な課題解決に取り組んでいくためには、市民一人ひとりが『地域の課題は、地域が解決する』という地区まちづくり活動の意義を再確認し、誰もが活動の担い手として参画することが大切になります。
更には、地区住民と行政とが連携して地域コミュニティの活性化に取り組んでいくことがますます重要となってきています。
このため、『富士市地区まちづくり活動推進条例』は、将来にわたって持続可能な地域コミュニティの実現に向けて、本市における住民主体の地区まちづくり活動の意義や理念を広く市民に共有し、多くの市民の参画の下で活力ある地区まちづくり活動を推進していくために制定するものです」--。
上記で指摘されていることをみていくと、文京区に共通する点、文京区と異なる点があるのが分かります。
例えば、「小学校の通学区域において」という部分は措くとして、文京区では「多くの区民の参画の下、住民主体の地区まちづくり活動が、豊かに、そして活発に行われてきました」と言えるでしょうか。
さらに、文京区では「こうした本区独自の地区まちづくり活動による様々な取組により、身近な地域における人と人のつながりが強まり、高い地域力が形成されてきました」と言えるでしょうか。
当然のことながら、いずれについても胸を張って、「活発に行われてきました」「地域力が形成されてきました」とは言えないでしょう。
ですが、「多くの市民の参画の下、住民主体の地区まちづくり活動が、豊かに、そして活発に行われてきました」「高い地域力が形成されてきました」という静岡県富士市でさえ、「しかしながら…」と言わざるを得ない状況にあるわけです。
文京区において「まちづくり推進要綱」をどう見直すかという問題が、小手先の見直しで済まないことだけは論を待たないかと思います。(続く)
(2019年2月25日)
「まちづくり協議会」の認定要件という論点からはちょっと逸れますか゛、「まちづくり協議会」に関する条例があるという点で三重県亀山市のケースを取り上げてみたいと思います。
◆三重県亀山市には「亀山市地域まちづくり協議会条例」があります。(ちなみに同市の「まちづくり協議会」も”行政主導”によるものです)
その第1条には次のように書いてあります。
第1条 この条例は、地域において多様な主体を包括し、自分たちの暮らす地域を自分たちで創りあげるという理念及び民主的な運営の下に、地域課題の解決に取り組む自治組織である地域まちづくり協議会(以下「協議会」という。)に関し必要な事項を定めることにより、協議会の活動の定着化及び活性化を図り、もって持続可能で良好な地域社会の維持及び形成を目指すとともに、亀山市らしいまちの実現に資することを目的とする。
平成28年4月1日施行なので、比較的最近のキーワードがちりばめられています。
「多様な主体」、「包括」(包摂でもいいかと思います)、「持続可能」がそれに当たるでしょう。
もし、文京区において、「まちづくり協議会条例」なり、「まちづくり協議会設置要綱」なりを作る際には、第1条の目的として、次のように定めるのはどうでしょうか。
「この条例(あるいは要綱)は、地域において多様な主体を包括し、自分たちの暮らす地域を自分たちで創りあげるという理念及び民主的な運営の下に、地域課題の解決に取り組む自治組織であるまちづくり協議会(以下「協議会」という。)に関し、必要な事項を定めることにより、協議会の活動の定着化及び活性化を図り、もって持続可能で良好な地域社会の維持及び形成を目指すとともに、文京区らしいまちの実現に資することを目的とする」--。
この中に、「協働・協治」という言葉を盛り込むとともに、SDGsに出てくる「レジリエンス」も含めてもいいかもしれません。
「この条例(あるいは要綱)は、地域において多様な主体を包摂し、自分たちの暮らすまちは自分たちで創りあげるという志と、協働・協治の理念及び民主的な運営の下に、地域課題の解決に取り組む自治組織であるまちづくり協議会(以下「協議会」という。)に関し、必要な事項を定めることにより、協議会の活動の定着化及び活性化を図り、もって持続可能で良好な地域社会の維持及び形成を目指すとともに、自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化し、文京区らしいまちの実現に資することを目的とする」--。
文京区において、「まちづくり推進要綱」を見直すにあたっては、単に見直せばいいという発想ではなく、必要に応じて先進的で全く新しい条例や要綱をつくるという気概を持って取り組んで頂きたいと思います。(続く)
(2019年2月22日)
文京区には「まちづくり基本条例」がなく、「まちづくり推進要綱」はあるものの、「まちづくり」とは何か、「まちづくり協議会」とはどういうものかという定義はありません。
◆これに対して、滋賀県湖南市には「地域まちづくり協議会条例」というものがあります。
この「地域まちづくり協議会」も、いわば”行政主導”といえるものですが、参考になる点は多いので取り上げます。
まず、第1条の「目的」は次のように定めています。
「自分たちのまちは自分たちでつくる」という基本理念のもとに、地域住民により設立された地域まちづくり協議会(以下「協議会」という。)の活動をさらに円滑にし、活性化を図るために、この条例を制定する」--。
協議会の役割は第4条において、次のように定めています。
第4条 協議会は本条例の目的を実現するために、当該区域の法人及び各種団体と協力して次に掲げる役割を担う。
(1) 当該区域の地域住民がその活動を理解するために、情報の共有を行うこと。
(2) 地域の課題解決や地域福祉の向上のための企画を立案し、具体的な取り組みを行うこと。
(3) 地域に関わる施策や地域だけで解決困難な課題について、意見をまとめ市に提案すること。
協議会に対する市の支援は以下のようになっています。
(市の支援)
第11条 市は、本条例の目的を実現するために、協議会の自主性及び自立性に配慮しながら、協議会と連携協力して地域自治を確立するための財政支援、人的支援及び情報発信等の支援を行う。
2 市は、前項の支援を行うにあたり、協議会と市行政に協力する各種団体とが連携を高め、相互補完関係を築くよう働きかけを行うものとする。
では、要件はどうなっているでしょうか。
(協議会の要件等)
第6条 協議会は、次に掲げるいずれもの要件を満たさなければならない。
(1) 当該区域のすべての行政区が参加をし、その代表者が協議会の運営に参画していること。
(2) 協議会には、その区域の地域住民のすべてが加入できること。
(3) 目的、名称、区域、事務所の所在地、会員の資格、代表者及び会議、意思決定を行うための機関などを明記した規約を定めていること。
(4) 組織の運営に当たる役員や代表者は、民主的に選出されること。
(5) 民主的で透明性を持った運営ができること。
湖南市の場合は“行政主導”、文京区の場合は区民の自主的な発意に基づく面もあるので、一概に比べられるものではありません。
ただ、湖南市の場合、「民主的」であることが強調され、「透明性」ということも入っています。
文京区においては、「まちづくり推進要綱」の見直しにあたって、新たに「まちづくり協議会要綱」をつくることを検討してもいいのではないでしょうか。
もちろん「協働・協治に基づく『文の京』まちづくり基本条例」のようなものを制定した上で、「まちづくり協議会要綱」をつくるという選択肢もあるかもしれません。
いずれにしても、「まちづくり協議会」が地域のまちづくりを支える重要な組織であることに鑑みれば、それを支える制度的な土台もしっかり整えるべきではないででしょうか。(続く)
(2019年2月21日)
◆昨日に続いて、滋賀県草津市の「協働のまちづくり条例」における「まちづくり協議会」の資料を見ながら、文京区として何を学べるかを考えてみます。
「まちづくり協議会」のQ&Aを作り、区のHP等で分かりやすく区民に伝えることも大切です。
加えて、パンフレットに書いてある「今後ますます地域と市がお互いに知恵を出し合い、力を合わせてまちづくりを進めていく必要があり、地域においては「自分たちの地域は自分たちでつくる」という考えのもと地域ぐるみで、まちづくりを行う組織である「まちづくり協議会」の活動を通して、さらに住みよい地域の実現に向け課題を解決していくことが重要となっています」という部分は、「市」を「区」と置き換えれば、そのまま文京区にも当てはまるのではないでしょうか。
改めて強調しますが、これは何も課題が生じたからすることではなく、課題が生じていなくても(課題とは言えないようなことであったとしても)取り組むべき行政サービスのひとつだと思います。
そして、こうした小さな取り組みのひとつひとつが、文京区の職員行動指針「チーム文京スピリット」に書いてある「区の代表として本気で区民と向き合います」ということの表れであり、「昨日の自分を超えて挑戦します」ということにつながっていくのではないでしょうか。(続く)
(2019年2月20日)
◆滋賀県草津市の「協働のまちづくり条例」における「まちづくり協議会」の資料を見ながら、文京区として何を学べるかを考えてみます。
2つ目は、「まちづくり協議会」のパンフレット作成です。
文京区においてもこうしたパンフレットを作ることは、区民に分かりやすく説明するという「説明責任」を果たす上で欠かせず、何か課題が生じていなくても手掛けるべき行政サービスと言えるでしょう。
滋賀県草津市の「まちづくり協議会」は行政主導によるもので、現状の文京区における「まちづくり協議会」とは異なります。
とはいえ、「自分たちの地域は、自分たちでつくる!」というメッセージは重要ですし、「住民自治の実現」「『地域の絆』づくり」「地域の実態に即したまちづくりの展開」「さらに住みよい地域へ」といったフレーズは文京区でも十分に通用するはずだと思います。(続く)
(2019年2月19日)
◆滋賀県草津市の「協働のまちづくり条例」における「まちづくり協議会」の資料を見ながら、文京区として何を学べるかを考えてみます。
1つは「認定要件」の資料です。
改めて指摘するまでもありませんが、「認定要件」はただ並べればいいというものではありません。
それぞれの「要件」の属性をよく考えて分類し、それぞれの属性の重要度を踏まえながら選んでいく作業が欠かせません。
文京区において、「まちづくり推進要綱」を見直す際にはこうした資料を作るとともに、特に「(参考)他市事例」のようなものにしては、全国の他の自治体の主なケースを調べ上げ、それを区民に公表し、区民の衆知を集めながら決めていくことが欠かせないでしょう。(続く)
(2019年2月18日)
◆滋賀県草津市の「協働のまちづくり条例」における「まちづくり協議会」を考える上で、ちょっと変わったアイデアが盛り込まれているので紹介したいと思います。
それは、「中間支援組織」(下記画像参照)というものです。
定義は、「まちづくりを活性化させるために必要な支援を行うとともに、市民と市民または市民と市の間に立って協働によるまちづくりを推進する組織をいう」となっています。
さらに条例では、以下のように規定しています。
(中間支援組織の役割)
第9条 中間支援組織は、自主的なまちづくりに関する支援を行い、および協働によるまちづくりの推進に必要な各主体間における調整を行うよう努めるものとする。
2 中間支援組織は、自らの機能を高めるため、中間支援組織相互の情報を共有し、ならびに連携し、および協力するよう努めるものとする。
第7章 中間支援組織
(中間支援組織の指定)
第22条 市長は、市民と市との協働によるまちづくりを円滑に進めるため、市民と市の間に立って支援する中間支援組織を別に定めるところにより指定することができる。
2 前項の規定により指定された中間支援組織は、市の協働によるまちづくりの推進に積極的に協力するものとする。
3 市は、第1項の規定により指定された中間支援組織を積極的に活用するものとする。
さらに、「草津市協働のまちづくり条例施行規則」では次のように「指定要件」を定めています。
(中間支援組織の指定要件)
第13条 条例第22条第1項に規定する指定は、次の各号のいずれにも該当する場合に行うものとする。
(1) 市民公益活動団体等の交流促進機能を持つこと。
(2) まちづくりに関する情報の収集および発信機能を持つこと。
(3) まちづくりに関する相談およびコンサルティング機能を持つこと。
(4) まちづくりに関する人材育成および研修機能を持つこと。
(5) まちづくりに関する活動支援および資金助成機能を持つこと
これだけだと具体的に分かりにくいかもしれませんが、草津市のHPには次のように書いています。
中間支援組織の指定・・・条例を全面的に施行した7月1日に、本市の中間支援組織として(公財)草津市コミュニティ事業団と(社福)草津市社会福祉協議会を指定しました。
文京区においても、名称をどうするかは別にして、こういった「中間支援組織」の指定制度をつくり、「まちづくり協議会」の活動を側面支援するような動きを促してもいいのではないでしょうか。(続く)
(2019年2月15日)
◆滋賀県草津市の「協働のまちづくり条例」における「まちづくり協議会」の認定要件について引き続きみていきます。
草津市の「まちづくり協議会」の認定要件は次のようになっています。
(認定要件)
第11条 市長は、次の各号のいずれにも該当するものを、まちづくり協議会として認定することができる。
(1) 地域住民で構成され、かつ、区域内で活動する個人および団体にも参加の機会を保障していること。
(2) 区域の課題を解決することを基本とした地域住民主体の組織であること。
(3) 透明性が確保され、かつ、民主的な運営を行う組織であること。
(4) 市のパートナーとして協働によるまちづくりを推進する組織であること。
(5) 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、および信者を教化育成することを目的としないこと。
(6) 政治上の主義を推進し、支持し、またはこれに反対することを目的としないこと。
(7) 特定の公職の候補者もしくは公職にある者または政党を推薦し、支持し、またはこれらに反対することを目的とする活動をしないこと。
(8) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める要件を満たしていること。
また、「草津市協働のまちづくり条例施行規則」では上記の(8)に関して、次のように定めています。
第3条 条例第11条第1項第8号の規則で定める要件は、次に掲げる事項とする。
(1) 基礎的コミュニティの代表者が、組織の運営に参画していること。
(2) 組織および運営に関し、規約、会則等に次の事項を定めていること。
ア 構成員の資格
イ 役員の選出方法
ウ 総会の設置
エ 事業計画
オ 収支予算
カ 収支決算
さて、文京区としてどのような点に学べる、あるいは学ぶべきでしょうか。
はっきり言って、草津市の認定要件は全て「あって然るべき」かと思います。
文京区の場合、どうしてこのような認定要件になったのか、今から30年も前(最後の改正から14年余り)のことですから、議論の経緯を検証することもままなりません。
しかし、文京区と草津市を比べてみると、当然入っていて然るべき要件が入っておらず、逆にかなり厳しいのではないかと思われるような要件が含まれていることが分かるのではないでしょうか。
「まちづくり推進要綱」や「まちづくり協議会助成金交付要綱」を見直したり、新たに「協働・協治に基づく『文の京』まちづくり基本条例」といったものを制定する際には、草津市の認定要件を詳細に吟味したうえで、文京区に相応しいものをつくって頂きたいと思います。(続く)
(2019年2月14日)
◆滋賀県草津市の「協働のまちづくり条例」における「まちづくり協議会」の認定要件をみていきます。
まず、押さえておきたいのは、草津市の「まちづくり協議会」は「基礎的コミュニティ等を中心とし、概ね小学校区(以下「区域」という。)を範囲として設置される区域を代表する総合的な自治組織であって、第11条第1項で認定されたものをいう」となっていて、いわば”行政主導”であるという点です。
それを踏まえた上で、敢えて文京区の「まちづくり協議会」の認定要件と比べてみたいと思います。
その前に、草津市の「まちづくり協議会」の位置付けや役割をもう少し詳しくみてみましょう。
(まちづくり協議会の役割)
第5条 まちづくり協議会は、地域住民の意見および要望を把握し、課題解決に向けて、計画的なまちづくりに取り組むものとする。
2 まちづくり協議会は、市、市民公益活動団体等と連携し、および協力するよう努めるものとする。
(地域まちづくり計画の策定および公表)
第16条 まちづくり協議会は、自分たちの住む区域を住み良いまちとするために、目指す将来像を掲げるとともに、それを実現するため解決すべき課題およびその解決方法を示した計画(以下「地域まちづくり計画」という。)を策定するものとする。
2 まちづくり協議会は、地域まちづくり計画を策定したとき、または変更したときは、これを公表するものとする。
3 地域住民は、地域まちづくり計画に基づいたまちづくりに取り組むよう努めるものとする。
4 市は、地域まちづくり計画および前項に規定する取組を尊重するものとする。
草津市の「まちづくり協議会」は行政主導の色彩が濃いので、このようになっていると考えられます。
では、文京区の「まちづくり協議会」はどのような定義付けがされ、どのような役割を担うとされているでしょうか。
すでにこのシリーズで触れましたが、残念ながら文京区においては「文京区まちづくり推進要綱」にも「文京区まちづくり協議会助成金交付要綱」にも明確な形で記載されていません。
文京区場合、単に「まちづくり協議会」という名称の組織・団体に対して「認定制度」があり、認定されると助成金が交付されるというだけのものになっているのです。
「ニワトリと卵」になりますが、「まちづくり協議会」の定義付けをしっかりし、役割と機能を明確にした上で、認定制度があるなら、定義と役割・機能に応じて認定要件が決まってくるというのが常識的なあり方かと思います。(続く)
(2019年2月13日)
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